2024.11.8
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Watching Through His Eyes
現在開催中の『ポール・マッカートニー写真展 1963-1964 ~Eyes of the Storm~ 大阪展』の話題を中心に、ビートルズを愛するふたりが語り倒す1時間をテキストダイジェストでお楽しみください。
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エモい! 青春がギュウギュウに詰まってる!
キラキラビートルズがここに。
ともにミュージシャンであり、ビートルズ好きでもある浜崎貴司とちわきまゆみ。
ふたりが、現在開催中のポール・マッカートニーの写真展について熱く語る!
FM COCOLO「Whole Earth RADIO《Watching Through His Eyes〜ポール・マッカートニー写真展1963-64“eyes of storm”》」でのトークの模様をダイジェスト。
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浜崎:東京でやってるのは知ってて、そこに行けなかったんですけど。たまたま大阪来てるときにやってるっていうんで観に行ったんですけど、これがですね……よかった!
ちわき:そうなんですよ。
浜崎:びっくりした。
ちわき:最初、見に行く前まではポール・マッカートニーの写真展? どうなんだろう? って思って、行ったんですけども、これが非常にエモい……。
浜崎:エモい!
ちわき:エモい写真展でございます。展示されている写真、ポール・マッカートニーが写真撮ってるわけですけども、ある一定期間……すごい短いあいだなんですよね。
1963年12月7日のリバプールから、1964年の2月21日まで、二ヶ月半、約三ヶ月のあいだということなんですけど。
浜崎:リバプールから、最後はアメリカなんですよね。
ちわき:リバプール、ロンドン、パリ、マイアミ、ワシントン、ニューヨーク、ワシントン、マイアミという順番なのかな?途中から、モノクロからバーンとカラーになるよね。
浜崎:あそこもね。ちょっと衝撃なんですよね。
ちわき:それまでずっとね。モノクロームの世界でくるんですけど、
浜崎:このモノクロが綺麗なんですね。
ちわき:そうですね。
浜崎:ほんと美しい。カラーも綺麗なんですけど、やっぱり当時のカメラの性能っていうのかな? それはすごい。今とは全然違う味があるっていうか、「美」があるって感じ、しますね。
ちわき:そうですね。ポールはこの頃、写真を撮っていたこととか、その写真の存在はなんとなく覚えていたんだそうですが、一度もプリントしたことがなかったんだそうで。長らくお蔵入りしていたものを、2020年にポールの権利管理会社がアーカイブから発見したということで、その中から今回250枚余りを厳選していると。引き伸ばすときに細かなノイズなんかを丁寧に取ってるみたいなんですね。だから綺麗。
浜崎:綺麗だね。
ちわき:そりゃそうよね。だって1963年って言ったらもう、61年前ですね。多少の経年劣化とかありますよね。そういうのを調整しているということだと思うんですけど。
浜崎:そうか。だからこの展覧会の、ウェブ上のね、画像とかチラシとかを見たときには「ふうん」ってぐらいの感じはちょっとあったんですけど、生で見たらね……。
ちわき:ねえ。
浜崎:これ、ほんと展覧会で観るべきもんだなっていう美しさがあるのと……まあ、ぶっちゃけ言いますけど、ポール、舐めてたね。
ちわき:そうなの?(笑)でもポール、写真もやっぱりうまいのかな。
浜崎:うまいっていうか、やっぱりセンスがいい。
ちわき:あと当時、若いしね(ポール21歳ジョン・リンゴ23歳ジョージ20歳)。だから若い感性で、きっと好奇心で次々いろんなことをやり出す頃だったんじゃないですかね。
浜崎:ここで言い過ぎちゃうとアレですけれども、ほんとに青春がね、ぎゅうぎゅうに詰まってますよ。
ちわき:ぎゅうぎゅうに詰まってますよ、ほんと。じゃあそのモノクロの中で一枚、印象に残っている写真とかあります?
浜崎:僕はですね。あのニューヨークに着いて、ファンが走って追いかけてくるのを、車の中からニューヨークの街とともに撮ってる、すごく大きく引き伸ばされた写真。
ちわき:いいですね。あれ、ビートルズの映画『A Hard Day's Night』のシーンとかぶりますよね。
浜崎:かぶりますねー。
ちわき:映画はロンドンの方ですけど。
浜崎:フィクションですからね、あれはね。それがノンフィクションで、まんまおこなわれてたんだっていうのがね。だから、今回のタイトルにありますよね「Storm」。嵐の一枚のひとつですね。
ちわき:私はもっとおちゃらけてるんですけど、ロンドンで彼らが十何日間のクリスマスショーに連続出演して、その楽屋裏でジョージ・ハリスンがキラキラのついたシルクハットを二つ重ねてかぶってるっていう、ちょっとお茶目な写真が可愛くて好きだったなあ。
浜崎:そこのキャプションに「とってもハンサムなジョージ・ハリスン」ってポールが書いてるんですよね。可愛い。
ちわき:可愛いね。だからあの写真展を観てると、自分もビートルズを好きだった子供の頃に戻っちゃう感じがあって。だからきっと浜崎さんだったら(初めてビートルズを聴いた)十歳ぐらいにね、タイムカプセルに乗って戻ったような感覚もありますよね。
ちわき:今回の写真展は、リバプールから始まって、フランス行ってアメリカ行って、《エド・サリバン・ショー》とかテレビに出たりするっていう。ビートルズがまずはイギリスで大成功を収めて、さあ、世界にもう行くぞっていう。
浜崎:羽ばたいちゃった……ぐらいの感じですね。
ちわき:ビートルズが、社会現象になっていく過程が写真で収められてるんですけど、ロンドンとかリヴァプールの頃は、まだちょっと、ほっこりしてるじゃないですか。
浜崎:ちょっと営業やってる感じがあるんですね(笑)イベントでね。
ちわき:そう。コメディアンの人とか、いろんな人たちとクリスマスショーをやって、ややイナたいっていうか、ほっこりした感じでいくんですけど、まあそこからなんだろう?地元の人気者が急に世界の舞台に行くっていう。
浜崎:サクセスですよねー。
ちわき:サクセス。だから、この経過見てると、だんだんバンドのルック……服とかが垢抜けていくっていうか。顔も成長していくっていうか、イモっぽさがどんどんなくなっていって、すごいかっこよくなっていくような。でも3ヶ月でそんな出来上がる?!みたいな。なんていうんでしょうね。そういうアイドルの……。
浜崎:まあアイドルグループの感じ、しますよね。自作自演の曲を作ってるけど、アイドルをやってるっていう。
ちわき:あれだけキャーキャーなんだもんね。十代の子たちに。
ちわき:そうやって、ポールが撮ってるんだけど。ロードマネージャーのニール・アスピノールとか、用心棒だったマル・エヴァンスとかね。
浜崎:マネージャーのプライアン・エプスタインとか。レコーディング・ディレクターのジョージ・マーティンとかね。いろいろ出てくる。これがスタイリッシュなんですよね。ファッションも含めてですけど。ガールフレンドも出てきて、たとえばジョン・レノンの奥さんのシンシアとかね。それからポール・マッカートニーが当時付き合ってた恋人ジェーン・アッシャー、女優のね。それがまたメチャクチャお洒落。可愛い。いまでも、ほんとに素敵ですよねっていうファッションですよね。
その中の、ジョン・レノンを撮ってる写真とかを見ると、ジョン・レノンの「強さ」っていうか。怖い感じもちょっとある。気を許さない感じっていうか。ツンとしてるんですよ。どっかでジョン・レノンって、やっぱりキリッとしてるっていうか、険があるっていうか……。それに比べて、リンゴの可愛らしいこと、みたいな(笑)。
ちわき:そうね。確かにジョンは、ちょっと何かヨロイをまとってる感じはありますよね。
浜崎:だけどリンゴはやっぱりこう……あの感じなんですよね。
ちわき:リラックスしてね。で、まあ、ジョージは可愛いし……みたいな。
浜崎:ジョージなんてあの最後のマイアミでさ、水着になってんですけど、体もまあ綺麗ですよね(笑)。
ちわき:細いねー(笑)。
浜崎:細いけどね。でも、意外と腕に筋肉あったりして。やっぱギターを弾いてるからかなーとかさ。
ちわき:なるほど、なるほど。
浜崎:そのシンシア・レノンね。(ジョンの)最初の奥さんですね。オノ・ヨーコさんの前の、ジュリアン・レノンさんのお母さんですね。そのシンシア・レノンさんを(ツアーに)帯同してるっていうのも、なんていうか……。
ちわき:ねえ。意外だった。
浜崎:当時結婚してたのは多分ジョン・レノンだけだったと思うんですよね。だから
おお、シンシアも来るの? いいじゃんいいじゃんみたいな感じで、一緒に行ったんでしょうね。
ちわき:でもさ、隠してなかったのかな?
浜崎:そうか、最初はまだ隠してたのかな?
ちわき:なんかそんな感じもするけど。でもね、すごいファミリーな感じ。もちろんシンシアは奥さんだからファミリーなんだけど、スタッフとともに、なんか一座というか、チーム・ザ・ビートルズみたいな感じで、これからみんなで世界行くぞ、みたいな、そういうワクワク感があるのかなと思って見てたんですけど。
浜崎:やっぱり一番中心となってるのは(マネージャーの)ブライアン・エプスタインですよね。この方はやっぱり、非常に独特な人でしたし。
ちわき:当時にしてはね(性的マイノリティって)なかなか理解されづらいことだったと思うんですけどね。
浜崎:ええ、そういう部分を多分いろいろ複雑に感じながら、でもこの人の才能、すごいだろうなっていう……。なんかこのツアー中に、ポールとブライアン・エプタインが打ち解けるみたいなことも書いてあったね。
ちわき:あったね。この旅でブライアンのことをより良く知った気がする、みたいなキャプションがありましたよね。
浜崎:で、ブライアン・エプスタインがいるビートルズっていうのは、やっぱり輝いてるんですよね。
ちわき:そうね、やっぱ彼を失ったあとって、結構迷走するじゃないですか。
浜崎:しかもちょっとダークな部分が。ま、そこがまたいい魅力、すごいところになるんですけど、ビートルズのね、
ちわき:音楽的にもすごい変化するしね。だからそういう意味では、この……今回、写真展になってる3ヶ月って、すっごいキラキラで、めちゃめちゃエモいんですよ。
浜崎:エモい。
ちわき:なんかこう青春? が、ギュギュって詰まった……。
浜崎:青春。その一言に尽きる。
なんかこうバンドマン、僕もバンドマンですからわかるんですけど、バンドをいちばん。ほんとうにただただ堪能している時期っていう感じしますよね。
ちわき:で、このあといろいろあって、ブライアン・エプスタイン亡くなってしまって、そこらへんからメンバー同士いろいろあって、ちょっとダークになっていって。最終的にはポールが他の3人訴えるみたいなこととか。「ええー、なにそれ−!」みたいなことになってくわけですけど。われわれは、そのビートルズのヒストリーを知ってますから、余計にこの初期の……。
浜崎:眩しい。
ちわき:ねえ。だからすごいグッと来ちゃうの。なんかこの写真展、観ると。
浜崎:来るよー、来る来る。もうほんと、キラキラビートルズですよね。
ちわき:バンドっていいよねって、言える気持ちがここには満載なんですよね。
浜崎:バンドのいちばんの夢ですね。
ちわき:ほんと。だってパリで「俺たち全米ナンバーワンになったよ」って聞いて、ワーイ! ってなって、じゃあアメリカ頑張っていこう、って行くじゃん?
浜崎:そしたら空港にどえらいファンが待ってるっていう。
ちわき:そういう写真もいっぱい残ってて、ポール、こんなにファンの人を撮ってたんだねっていう。あと(報道の)カメラマンの人たちとか、空港のスタッフとか、
浜崎:これがまたね、切り取り方がね、すごい素敵なんですよね。
ちわき:そうね、ほんとほんと。
浜崎:だから、ポール・マッカートニーの一家がまず写真を撮るの好きだったとか、いろいろその辺のことも展示にあるんですけれども、やっぱり芸術家のセンスっていうのがすごい感じられますね。ジョン・レノンのアートに対する雰囲気っていうのは非常に有名ですけど、ポールって(そういうアート的なところから)ちょっと遠い感じもしないでもない。ただ実際には、レコードジャケットをこういうふうにしようとかっていうのも、ポールがアイディアを出してたっていう話ですよね。
ちわき:やっぱりポール・マッカートニーのアイディアマンぶりっていうのはやっぱすごいものがあったと思うし、この写真たちを見ると、やっぱり彼のその美意識っていうのかな、目線っていうのはすごいものがあったんだなと思いますね。
浜崎:センスがやっぱりある。芸術的センスがあるんじゃないかなという気がしますね。
―――
この対談は、このあとのラスト・パートでビートルズの音楽的なすごさ、ジョージ・ハリスンの献身っぷり、それをめぐっての浜崎・ちわき両名からSirポールへの「お願い」、そしてのちにポールの伴侶となる写真家リンダ・イーストマンのことにまで、ふたりの憶測……いや、ホットな想像に及んでいきます。
つづきはradiko podcastでお聞きください。
2024年11月8日(金) Whole Earth RADIO
《Watching Through His Eyes〜ポール・マッカートニー写真展1963-64“eyes of storm”》
【On-Air SONG LIST】
M-1:I Saw Her Standing There/The Beatles
M-2:Long Tall Sally/The Beatles
M-3:Love Me Do/The Beatles
M-4:I Want to Hold Your Hand/The Beatles
M-5:All My Loving/The Beatles
M-6:Yesterday/The Beatles
M-7:Twist And Shout/The Beatles
M-8:Jet/Paul McCartney & Wings(One Hand Clapping Session』より)
M-9:Listen to What the Man Said(あの娘におせっかい)
《ポール・マッカートニー写真展 1963-64 “Eyes of the Storm”》
■会場:大阪梅田 グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタル イベントラボ
■会期:〜2025年1月5日
- DJ:ちわきまゆみ
- ゲスト:浜崎貴司