FM COCOLO

Whole Earth Station FM COCOLO [Whole Earth RADIO] / Every Friday 21:00 - 22:00

Archive

〜これまでの特集〜

Whole Earth RADIO

2021.3.21
ON AIR

もしもし、こちら最果です ‐後編‐

「もしもし、こちら最果です」後編の今週は、彼女の詩に想いを寄せる表現者から、アーティストの清川あさみさんが「私が恋に落ちた最果タヒの詩」を朗読、詩の魅力も語ってくださいました。

清川あさみセレクト「私が恋に落ちた最果タヒの詩」は【百人一首 9番 小野小町】(「千年後の百人一首」より)
セレクト理由...(最果さんと一緒に作った「千年後の百人一首」全体に関して)タヒさんの詩は
音が聞こえてくるような、色が見えてくるような、そんないろんな想像力を与えてくれる。
そして、全体的に視点の距離もおもしろく、少し、人間の悲しいこと…例えば(この詩だと)「年を取る」っていうちょっとネガティブに聞こえるようなことも、どこかちょっと愛おしいというか…かわいい音楽のようにも聞こえてくるような、そういう、いい距離感がすごく好き。
どの詩も、愛おしい人間の世界を彼女なりにいつも描いていて、絵を描く側としてはすごくビジュアルが浮かびやすく、いろいろ作りたくなってしまう…そんな感じです。


オンエア楽曲


M1)かくれんぼ / はっぴいえんど...(最果タヒセレクト)
「冒頭の2行が情景描写。三人称にも一人称にもどちらにもみえる。私が出てこないから。でもその歌詞の後に「私は熱いお茶を飲んでる」と出てきて、それまで聞いてきた言葉は肉体を介して見ていた景色なんだとわかる。言葉単体で小説とか詩とか本で読む言葉の魅力の良さがある。普通、歌の言葉って消えていくもの。その場その場できらめく言葉がパパッと映るのが歌詞の魅力の一部でもある。でも、それと同時に本で読むのは残っていく。視界にも残っていくし読む人も残していくつもりで読むから。その中で言葉が自分に急に近づいてきたり、急に体を持って現れたりとかした時の「ハッ」という緩急によって心が惹きつけられるみたいなのが、両方ある。松本さんの歌詞には。何年経って読んでも「これすごいな...。歌詞でこれができるってすごい...」と思う。

「かくれんぼ」の歌詞の秘密を松本さんがお話してくださいました。
聞き逃した方はは、ぜひタイムフリーで!

M2)Time /宇多田ヒカル...(小野小町のイメージで。最果タヒセレクト)
小野小町って自分の中でグツグツ気持ちと言葉を考えて混ぜ合わせている人だなと。宇多田ヒカルさんの歌詞もメッセージの手前の言葉という感じがする。コミュニケーションのために使われる言葉じゃない言葉で、それは自分自身の感覚とか、自分が見てる景色...自分にしか見えない(自分の目で見ている)景色は誰にも共有できない。その景色の中でしか生きられないのが自分。その自分として言葉を書く。むしろそういう言葉だから他の人は「アッ」と思ったりするみたいなところがあって。そういうことを考えている時に宇多田ヒカルさんだなと思った

M3)空色のくれよん / はっぴいえんど
「ぼくはきっと風邪をひいてるんです」それだけが書かれているっていうのが、一番、全てを伝えてくる時ってあって。この歌詞は本当に...いい。
...この曲について、2015年リリースの松本隆さん作詞活動45周年トリビュート「風街であひませう」に最果さんが解説しています。
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/CL64356/VIZL-842.html

M4)春よ来い / はっぴいえんど
「はっぴいえんどを初めて聞いたのが「春よこい」。”お正月”とか”こたつ”という言葉ってこんなにかっこよかったっけ?と思った。メロディーと歌詞が不思議な組み合わせで。"お正月"とか”こたつ”とか言葉の中に情緒もあるし、メロディーとしての情緒もあるけど、どちらも支え合ってない。両方がすごく研ぎ澄まされている。だからこそ、すごく高いところで重なり合っている感じがする」
松本隆さん曰く「ゆでめん」がほぼ処女作。中でも「春よ来い」と「12月の雨の日」が最初で、同じ晩に作ったそう。ここでまた貴重な制作秘話が。
聞き逃した方は、ぜひタイムフリーで!

今回も最果タヒさんならではの視点ではっぴいえんど の歌詞、松本隆さんの歌詞を解説していただきました。

「現代詩は死んでいる」と思っていた松本隆さんが最果さんを知って「詩人はまだ生きていた」と思ったほど。最果さんについて「日本の詩をひとりで背負ってたっている」「最後の詩人」ともおっしゃっていました。松本隆さんから「火を絶やさないように」と言われ、恐縮しながらも力強くうなづいていた最果タヒさんが印象的でした。

本日で心斎橋パルコで開催していた「最果タヒ展|われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」は終了しますが、ぜひ、最果タヒさんの著書で「最果タヒの詩」に出会ってください。

  • DJ:池田なみ子
  • ゲスト:最果タヒ/スペシャルゲスト:松本隆/朗読&コメント:清川あさみ

■番組BLOGはこちら

Archive

〜これまでの特集〜