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Whole Earth Station FM COCOLO [Whole Earth RADIO] / Every Sunday 6:00a.m.-7:00a.m.

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2021.1.24
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神戸発、未来とWhole Earthへのメッセージ 「時と場所を越えて、語り継ぐということ」

先週1月17日に引き続き、「阪神・淡路大震災から26年 -神戸発、未来とWhole Earthへのメッセージ-」と題して神戸出身・在住のMEMEがお送りする特集の2回目。
阪神・淡路大震災を体験していない人々が増える中、その記憶や教訓をいかに繋いでいくかが今、課題となっています。今回のゲストおふたりのお話は、「継承」することの大切さを再認識させられるものでした。

番組前半に登場したのは、神戸新聞社編集局報道部長の長沼隆之さん。1月17日の午後、翌日の朝刊紙面の準備が着々と進められる神戸新聞社内の一角で、震災時の報道や、震災の記憶を語り継ぐ取り組みについて聴きました。

1995年1月17日に西宮の自宅で被災後、三宮にあった神戸新聞本社が全壊していると知らず、記事を書かねばという一心で公衆電話から連絡を入れ続けた長沼さん。当時はまだ携帯電話が普及しておらず、皆がお互いの無事も確かめられない状況でした。また神戸新聞が震災直後から京都新聞の協力を得て新聞を発行し続けた話は有名ですが、長沼さんいわく「それはそんな美談ではない」。当時の神戸新聞が地元の人たちに向けて掲載できた情報はわずか数ページ。地元の情報が一番必要とされている時に必要な読者に届けられなかったことへの反省と、災害時にも地元で紙面づくりが可能な危機管理体制の重要性を語りました。

神戸新聞が東北や熊本など災害のあった各地に記者を派遣し続けるのは、他所の災害が大変だというレポートのためだけではなく、いま自分たちに同様の災害が起きたらどうなるか?という地元へのメッセージ。コロナのように誰にも同じように降りかかる有事の時には、本当に必要なことが浮き彫りになる。だからこそ時代や場所を越えて、体験を語り継いでいかなければならない――。 
長沼さんの思いを受け止め、スタジオではMEMEが1月18日の神戸新聞朝刊を手にお送りしました。神戸新聞では毎年、震災を経験していない若手記者たちも町に取材に出かけて遺族の方々から話を聴き、「1.17 伝えたい心の言葉」特集に結実させています。神戸新聞が実践する、世代を越えた継承の取り組みが伝わる紙面です。

番組後半には、FM COCOLOの『COCOLO Earth Colors Spanish Edition』担当、ペルー出身のロクサナが登場。自身の被災体験と、スペイン語によるコミュニティへの情報提供の取り組みについて語りました。

阪神・淡路大震災では多くの外国人住民が被災しました。ロクサナもそのひとり。震災当時あまり日本語が話せず、夫と二人で避難所にたどり着くのにも苦労があったうえ、避難所では自分たちはあくまでもゲストだから迷惑をかけてはいけないと遠慮して、物資を貰うこともしませんでした。余所者だと追い出されたらどうしようと不安に思う気持ちもありました。でも今はそれが間違いだったとわかる、迷惑かけてはいけないと思って参加しなかったことでかえって迷惑をかけた、と振り返ります。

ロクサナの活動のきっかけとなったのが、2011年の東日本大震災。現地のラテン・コミュニティの人々に、神戸で学んだことを引き継いで役立てほしいと考えました。その後もロクサナは、日本各地にあるラテン・コミュニティに向けてスペイン語で自身の被災体験を共有し、防災情報を発信する活動を継続。各コミュニティ内でそれぞれに日本語ができるリーダーを立てることを推進し、日本の社会との橋渡しをしています。


▼番組でオンエアした楽曲
M1. しあわせ運べるように / 島谷ひとみとしあわせを運ぶ合唱団
――1995年に小学校教師の臼井 真さんが作詞・作曲した合唱曲で、今年2021年1月17日から神戸市歌に指定。臼井さんは次の3月で定年退職を迎えます。オンエアしたバージョンは、2012年に神戸と仙台の小学生と一緒に歌われたもので、作家及びアーティスト印税は全額、東日本大震災復興支援のために寄付されました。
M2. Sukiyaki / 4 P.M.
――1995年にリリースされた、米国のアカペラ・コーラスグループによる「上を向いて歩こう」のカバー。
M3. Headlight / MONKEY MAJIK
――この1月から3月末までFM COCOLO『THE MUSIC OF NOTE』(毎週金曜日21時〜)のDJを担当中のMONKEY MAJIK。東北をベースに活動する彼らは東日本大震災の後、復興支援プロジェクトチャリティーライブ「SEND愛」を行なっています。
M4.Color Esperanza / Diego Torres
――ロクサナが選曲したラテン・ナンバー。アルゼンチンのシンガーDiego Torresが、希望や困難の克服をテーマに歌った1曲。2002年のリリースですが、2020年にはCOVID-19に立ち向かう歌として再リリースされました。

  • DJ:MEME
  • ゲスト:長沼隆之(神戸新聞社 編集局 報道部長)/ロクサナ(FM COCOLO『COCOLO Earth Colors Spanish Edition』DJ)

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