一冊の古本から始まる話の旅。
話は転がって広がって。
本の内容は勿論、
時代背景なども垣間みることができる『三千円 一〝本〟勝負』。
来月もお楽しみに。
※今回ご紹介した本は、
大阪・もりのみやキューズモールの「まちライブラリー」で
読んでいただくことができます。
<まちライブラリー ホームページ (もりのみやキューズモール)>
http://machi-library.org/where/detail/563/
●今夜の選曲●
<門上選曲>
旅人よ / 加山雄三
<西林選曲>
Conversation Peace / Stevie Wonder
<ラストソング/テーマ「鳥」>
セレクター:西林初秋
Morning Bird / Sade
門上武司・西林初秋が週替わりで担当する『放送後記』
今週の担当は西林さんです。
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色川武大は『黒い布』でデビューしたものの、その後はなかなか書けませんでした。阿佐田哲也の名で書いた『麻雀放浪記』が大ヒット。以後は『離婚』で直木賞。『百』で川端康成文学賞、そして読売文学賞に輝いた名作『狂人日記』へとつづくのですが、阿佐田哲也から色川武大へ、純文学への道を再び歩み出す第一歩となったのが、今回ご紹介した『怪しい来客簿』でした。
その一方で色川武大は芸人や勝負事をテーマにした数々の名エッセイを発表しています。なかでも『うらおもて人生録』は、鉄火場や裏街道で数々の修羅場をくぐってきた若き日の色川武大が、泥の水のなかから掴み取った人生の〝しのぎ方〟を教えてくれる1冊。「プロは一生を通じてその世界で食えなければならない」「フォームが大切」「ツキの流れを読んでそれに従う」「欲張りすぎず、九勝六敗を狙う」「実力は負けないためのもの」。そんなことばの数々は時代がどのように変わろうとも、そこに人の生があるかぎり通用する、生き抜く知恵だと思っています。
<西林初秋>