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【ライブレポート】THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE - Osaka

【ライブレポート】THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE - Osaka

5人の凄腕ベーシストとReiが魅了した、10回目のベースの日『THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE - Osaka』レポート

【公演概要】
THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE - Osaka
■2025年11月11日(火) OPEN 18:00/START 19:00
■会場:Zepp Namba
■出演:丸山隆平、休日課長 
ゲストベーシスト:亀田誠治、TOKIE、やまもとひかる
ゲストボーカル:Rei
【バンドメンバー】河村吉宏(Ds.)、真壁陽平(G.)、宗本康兵(Key.)
■料金:8,800円(税込)1Fスタンディング/9,800円(税込)2F指定 ※入場時ドリンク代別途必要
■主催:FM COCOLO/木下グループ
■協力:ベースの日実行委員会
■運営協力:キョードー関西


11月11日(火)のベースの日、大阪・Zepp Nambaにて『THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE - Osaka』が行われた。

4つの「1」を4本の弦に見立てた11月11日が「ベースの日」として正式に制定されてから、今年は記念すべき10回目だ。2015年よりスタートした『THE BASS DAY LIVE』は、これまで東京で6回開催されてきたが、今年は2年ぶりの2DAYS開催。11月10日(月)の東京・恵比寿ザ・ガーデンホール公演を経て、大阪での開催は初めてとなった。

2日間ホストをつとめたのは、ベーシストの丸山隆平(SUPER EIGHT)と休日課長(ゲスの極み乙女、DADARAY、ichikoro、礼賛)。大阪公演ではゲストベーシストに亀田誠治、TOKIE、やまもとひかる(Aooo)、ゲストボーカルにReiを招き、スペシャルでグルーヴィーな夜を展開した。本記事では、大阪公演の模様をレポートしよう。

平日夜にも関わらず、会場のZepp Nambaはフロアも2階席も人でいっぱいだった。BGMにはティーナ・マリーの「カシオペア」やVulfpeckの「Dean Town」、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの「Faces」など、ベースをフィーチャーした楽曲が流れ、会場の空気をじわじわと高めていた。


【丸山隆平・休日課長】






■M01:Just the Two of Us feat. Bill Withers/Grover Washington Jr.
■M02:“超”勝手に仕上がれ/SUPER EIGHT
■M03:猟奇的なキスを私にして/ゲスの極み乙女
定刻になり、会場が暗転。バンドメンバーの河村吉宏(Ds)、真壁陽平(Gt)、宗本康兵(Key)に続き、丸山と休日課長もステージ上手側にスタンバイ。やがて丸山と休日課長にピンスポが当たり、ふたり向き合ってグローヴァー・ワシントン Jr.の名曲「Just the Two of Us」を奏で始めた。主旋律とバッキングをスイッチしつつ、ひとりずつベースを鳴らしていく。ベーシストが並んで演奏する貴重な光景、同じフレーズを弾いていても、当たり前だが運指やスタイルに個性が出る(ふたりとも指弾きだった)。そんな場面を目の当たりにできる、これぞベースの日の醍醐味だ。オーディエンスは集中力高く、響き渡る低音に耳を澄ます。そしてバンドメンバーも演奏にジョイン、一気に厚みの増したアンサンブルの中で繰り出されるソロプレイや、ギターとの絡み合いにも圧倒された。キメと照明がマッチしたアウトロの演出も見事で、演奏が終わると客席からは大きな拍手と歓声が湧き上がった。

「皆さん盛り上がってますか! ベースの日始めます!」と休日課長が挨拶し、丸山も嬉しそうに笑顔を見せる。ここからはホストふたりの所属グループ・バンドの楽曲でギアをアップ! SUPER EIGHTの「“超”勝手に仕上がれ」では、ゴキゲンなサウンドに乗って丸山のベースボーカルが炸裂。<今夜ベースの日当日、11月11日 10th Anniversary楽しもうぜ♪>とお見舞いしたラップに休日課長とのスラップの応酬と、早速見どころ満載。オーディエンスもピースサインを作って手を振り、会場の一体感が増していく。

続くゲスの極み乙女の「猟奇的なキスを私にして」では、キレのあるバンドアンサンブルが一層うねるグルーヴを作り出す。ベースを置いて歌う丸山の高音ボーカル、渾身の休日課長のベースソロ、複雑な構成をさらりとこなすメンバーのハイスキルな演奏にもグッときた。

丸山と休日課長は、今年4月からFM COCOLOで『木下グループ Groove-Method』(毎週土曜20:00〜21:00放送)を週替わりで担当している。丸山が「ラジオ聴いている人ー?」と問うと多くの手が上がり、「聴いてない人はできる限り今日観て、聴いていただけると。色んな音楽をベーシスト目線でお送りしてます」と宣伝。そして「今日は10周年記念ですから、特別な夜にしたいと思います」と意気込んだ。


【Rei・丸山隆平・休日課長】


■M04:稲妻ブルース/SUPER EIGHT
ホストふたりの穏やかな人柄と軽快な掛け合い、垣間見える気遣いも相まって、イベントは終始あたたかなムードで進行する。メンバー紹介の後は、東京公演に引き続き、ゲストボーカルのReiが登場。Reiは「ベース好きとベーシストが楽屋にいて、オタクトークが止まらない。私は見ての通りギターボーカルなんですけど、噂には聞いていたベースの日にお呼びいただき光栄です。私は自分の作品を作る時、必ず弾いてほしいベーシストを決めてベースラインを書き下ろしたり、それに伴ったアレンジをするんです。今日は十人十色のベーシストが見れて楽しみなので、皆さんもベースフェチになって帰ってください」とベース愛を語る。

演奏されたのは、SUPER EIGHTの「稲妻ブルース」。選曲したRei曰く「ジャズ、ファンク、ロックがミクスチャーされて、ベースの色んなジャンル感が溢れた曲」とのことで、グルーヴ渦巻く大迫力の音の波に包まれた。また、Reiの纏う華やかさとギターや歌に宿るエネルギーにも驚かされる。彼女に牽引されて、丸山や休日課長はもちろん、バンドメンバーもぐんぐん熱が上昇していったのが印象的だった。「ざー! やって、ぶわー! やって、さーって去っていった!」と関西人らしくオノマトペ全開で興奮気味に語った丸山の感想通り、風のように雷のように花のように、珠玉のパフォーマンスで魅せたReiだった。


【やまもとひかる・丸山隆平・休日課長】






■M05:DOGMA/やまもとひかる
■M06:Yellow/木村カエラ
■M07:ステップアップLOVE/DAOKO×岡村靖幸
次なるベーシストはやまもとひかる。14歳でベースを始めた彼女は2018年よりYouTubeでベース演奏動画の投稿を開始、2019年にベース&ボーカル・アーティストとしてデビュー。現在は4人組バンド・Aoooのメンバーとして活躍している。1曲目はキタニタツヤがプロデュースした自身のソロ1stシングル「DOGMA」をパワフルに投下。曲が始まるや否や放たれた休日課長とのフルパワーのスラップ合戦は、もう圧巻。真っ直ぐに突き抜ける歌声とガッツのあるベースプレイが痺れるほどにカッコ良い。5弦ベースを難なく操るスキルの高さだけでも凄まじいのだが、スラップしながら歌うという難易度の高いテクを惜しげもなく披露した。オーディエンスは穴が開くほどやまもとの手元を見つめていた。

「好きな曲を」と木村カエラの「Yellow」をひとりでカバーした後は、やまもとと丸山のツインボーカルで、DAOKO x 岡村靖幸の「ステップアップLOVE」を贅沢コラボ。丸山は岡村靖幸を意識した腰つきと歌い方でノリノリで歌唱。ベーシストだけでなく、俳優や歌手としても活動する彼のマルチプレイヤーぶりが際立つ。最後は休日課長も加わり、やまもととのツインベースでフィニッシュした。


【TOKIE・丸山隆平・休日課長】






■M08:ステッピン・アウト/John Mayall&the Bluesbreakers
■M09:Miss Bunny/THE LIPSMAX
■M10:Sugar Daddy(『Hedwig and the Angry Inch』より)/Neil Patrick Harris
続いて呼び込まれたのはTOKIE。「ベースの日おめでとうございます」とにこやかに現れたTOKIEは待ち時間をのんびりと過ごしたそうで、「演奏モードになりきれていない自分がいたりする」とふわり微笑むも、John Mayall & the Bluesbreakersの「ステッピン・アウト」のイントロでギターがわななくと、黒髪のロングヘアを揺らしながらエレキベースをガンガン弾いていく。このギャップはたまらなく、歌うように高低を行き来するベースプレイにただただ圧倒された。ギター、ドラム、キーボードと濃厚に絡み合う様は、まさに楽器で会話しているようだ。あまりの神々しさに、TOKIEと向き合ってベースを弾いた休日課長が跪く場面もあった。

丸山のボーカルでロカビリーにプレイした、TOKIEが所属するフィメールバンド・THE LIPSMAXの「Miss Bunny」に続き、ひときわ大きな歓声が上がったのは、同じく丸山がボーカルを担った『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の「Sugar Daddy」。TOKIEが選曲を悩んでいたところ、丸山からこの曲の歌唱動画が送られてきたそうだ。何といっても丸山は、2022年に同作品のブロードウェイミュージカルの主演を務めた経験がある。ロックバージョンで奏でられた今回は、ヘドウィグになりきった丸山が妖艶に身体をくねらせたり跪いたり、舞台のワンシーンを再現するように魂を込めて歌い上げる。<どう?TOKIEのベース味わってる?あたしこんなところに呼ばれるなんて思ってもみなかった>というセリフパートを聴いたオーディエンスは大歓喜。丸山のパフォーマンスからは、彼がどれだけ楽曲の世界観を大切にしているかがよく伝わってきた。


【亀田誠治・Rei・丸山隆平・休日課長】








■M11:My Sharona/The Knack
■M12:SODA!/Rei
■M13:透明人間/東京事変
続いてはお待ちかね、ベースの日の発起人のひとりである亀田誠治が登場。小6まで吹田で育ったという亀田は「10年前に始めたベースの日が大阪でできるなんて最高に幸せです。ここからめちゃくちゃはじけていく時間にしたいと思います!」と再びReiを呼び込み、中学生の亀田少年が聴いて痺れたというThe Knackの「My Sharona」をとびきりロックに披露。フロントマンとしての存在感を放つReiのパワー、ボトムを支えつつも粒立った亀田のグルーヴィーなベース、それらを包括しつつも楽曲を彩るバンドアンサンブルが三位一体となって、とてつもない生命力が漲った。亀田は「いくつになってもベースを弾くのが楽しいんですよ。ハッピー“ベース”デーです!」と破顔。『THE BASS DAY LIVE』の意義がこの言葉に表れている気がして、じんとした。

今年デビュー10周年を迎えたReiが集大成として作り上げた「SODA!」のレコーディングには、CHICのジェリー・バーンズがベースで参加した。「ベースがすごく活きている曲なので、亀田さんのバージョンで聴いていただけたら」というReiの期待と願いが詰まったこの曲の躍動感たるや。時に正確で時にパワフル、時に優しく緩急のついた亀田のプレイには積み上げたキャリアと実力が凝縮されていた。客席も大喝采で、やんややんやの大盛り上がり。

思わずReiの口から笑いが漏れ出るほどのウキウキが伝わってきたのは、東京事変の「透明人間」。作曲者である亀田の生演奏でこの曲を聴けるなんて、本当に最高すぎる。ラストの口笛パートは丸山が担当し、これまた会場を湧かせたのだった。

亀田は「呼んでくれてありがとう。大好きな仲間と一緒にできて幸せだったなぁ」と感謝を述べる。それを受けて丸山は「改めてこれヤベェな」と呟き、東京事変の亀田を見てベーシストを追いかけるようになり、ゲスの極み乙女も好きになった、と自身のベース遍歴を口にする。休日課長もまた、最初にコピーしたベースフレーズがTOKIEのもの(RIZE『カミナリ』/2000年)だったりと、ベーシストとしての歩みの中で多大な影響を受けた人と同じステージに立てた喜びを噛み締めているようだった。さらにベテランと若手がお互いをリスペクトしあっている関係性もうかがえて、勝手に誇らしい気持ちになってしまった。


【BASS SUMMIT(トークセッション)】


ここでしばしのトークパート。やまもととTOKIEを交え、5人のベーシストによるベース座談会が行われた。この日使用した実機についてや「ベースあるある」など、ベース話に花が咲く。オーディエンスも興味深そうに貴重な話に聞き入っていた。


【ALL CAST】




■M14:Helter Skelter/The Beatles
楽しい時間はあっという間。いよいよ終わりの時が近づく。総勢9人の全員参加で披露されたのは、休日課長の選曲によるThe Beatlesの「Helter Skelter」。ベーシスト5人で一斉に弾く音が、ものすごい重みを伴って鼓膜を震わせる。圧巻のステージで、目と耳が足りないという贅沢な悩み。忘れることができない体験として脳裏に焼きついたこの時間は、間違いなくこの日一番のハイライトだった。

Reiに2日間の感想を訊かれ、休日課長は「憧れのベーシストと一緒にできて感無量です」、2年目から『THE BASS DAY LIVE』を見守っているという丸山は「10周年のベースの日でふさわしい時間を皆さんが作ってくれたんじゃないかなと思います」とそれぞれ想いを口にする。


【Rei、丸山隆平、休日課長】




■M15:マッシュアップ|丸の内サディスティック(椎名林檎)〜今夜はブギーバック(小沢健二 featuring スチャダラパー)〜Just the Two of Us feat. Bill Withers(Grover Washington Jr.)
ラストはRei、丸山、休日課長とバンドメンバーで、椎名林檎の「丸の内サディスティック」、小沢健二の「今夜はブギーバック(feat.スチャダラパー)」、そして1曲目で披露された「Just the Two of Us」へと奏でられるメドレーで締め括る。それぞれのソロの見せ場の後、Rei、真壁、宗本、河村とひとりずつメンバーが抜けていき、最後は丸山と休日課長のふたりに。ライブの始まりと同じく、ふたり向き合って丁寧に弦を弾くと、たっぷりと余韻を残してステージを去った。


【BANDメンバー|河村吉宏(Ds.)、真壁陽平(G.)、宗本康兵(Key.)】








こうして『THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE - Osaka』は大団円で終了した。この日だけのアレンジがふんだんに盛り込まれた特別で贅沢なパフォーマンスの数々は、どこを切り取っても輝いていた。屋台骨としてバンドを支えるだけでなく、表情豊かに楽曲を彩るベースの魅力を味わい、もっと夢中にさせられた至極の夜。同時に日本にこんなにもカッコ良いベーシストたちがいて、音楽シーンを最前線で引っ張ってくれている悦びと尊さを感じたのだった。来年の『THE BASS DAY LIVE』も楽しみでならない。

Text by 久保田瑛理
Photo by ハヤシマコ


なお、この日の模様は12月6日(土)、13日(土)の「木下グループ Groove-Method」にて2週にわたって、貴重なライブ音源とバックステージで収録した演奏直後の出演者のコメントを放送予定。

≪番組概要≫
『木下グループ Groove-Method ~THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE SPECIAL』
「THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE」の貴重なライブ音源とバックステージで収録した演奏直後の出演者のコメントをオンエア!番組にメッセージをくれた方の中から抽選で2名の方に丸山隆平と休日課長のサイン入り「THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE」ポスター(B2サイズ)をプレゼントします!
<提供=木下グループ>

■放送日時:12月6日(土)、13日(土)20:00-21:00
■DJ:丸山隆平/休日課長
■コメントゲスト(五十音順):
【ゲストベーシスト】
亀田誠治、武田祐介(RADWIMPS)、田村明浩(スピッツ)、TOKIE、やまもとひかる
【ゲストボーカル】
佐々木 亮介(a flood of circle)、Rei
【バンドメンバー】
河村吉宏(Ds.)、清野雄翔(Key.)、真壁陽平(G.)、宗本康兵(Key)


▼「THE BASS DAY 10th Anniversary Groove-Method LIVE - Tokyo」のレポートはこちら
https://cocolo.jp/site/pickup_detail/2818

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