一冊の古本から始まる話の旅。
話は転がって広がって。
本の内容は勿論、
時代背景なども垣間みることができる『三千円 一〝本〟勝負』。
来月の最終週の土曜日もお楽しみに。
※今回ご紹介した本は、
大阪・もりのみやキューズモールの「まちライブラリー」で
読んでいただくことができます。
<まちライブラリー ホームページ (もりのみやキューズモール)>
http://machi-library.org/where/detail/563/
●今夜のお届けした曲●
M① Night And Day / Diana Krall ......... (門上選曲)
M② Romeo And Juliet / Dire Straits ......... (西林選曲)
M③ 声 / 森山直太朗
(エンディング・ソング) .........… (門上選曲)
※今夜のエンディング・ソング選曲テーマは『光』
今回の『放送後記』の担当は門上さんです。
本放送に合わせてコチラもお楽しみください。
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先ほどの放送で取り上げた作家の原寮さんは、元ジャズミュージシャンでした。それもフリージャズのピアニストとして阿部薫や高木元輝などと共演したことがあるのです。ジャズピアニストでありながらもエッセイストというと、山下洋輔さんが頭に浮かびます。山下さんの文章は、文章もフリージャズに近い感じですが、原さんが描く西新宿に事務所を構える中年私立探偵・沢崎を主人公にした推理小説は、やはりレイモンド・チャンドラーの影響を受けているのか硬質な文体なのです。どちらかといえば、フリージャズというよりモダンジャズの系譜を思わせるスタイル。
同じジャズミュージシャンであり、フリージャズをプレイした二人が活字の世界では異なる表現方法をとっているのは、とても興味ふかいことでした。音楽と活字、どこかに共通するものがあるような気がします。やはりそのアーティストでないと表現できないスタイルを持つということなのでしょう。
また、推理小説とジャズならエッセイストの植草甚一さんを思い出してしまうのです。植草さんの推理小説へのアプローチ、またジャズへの迫り方は、まずを数から勝負です。推理小説なら何冊読むか、ジャズは何百時間聴くか、という手法です。推理小説、ジャズという二つのキイワードで、どんどん世界が広がってゆくような気がします。夜は長い。今夜はジャズを聴きながら、一冊の小説を読むことにします。
<門上武司>