門上西林 物見遊山 【#199/2020.7.25】
2020-07-25

話は転がって広がって。
本の内容は勿論、
時代背景なども垣間みることができる『三千円 一〝本〟勝負』。
来月もお楽しみに。
※今回ご紹介した本は、
大阪・もりのみやキューズモールの「まちライブラリー」で
読んでいただくことができます。
<まちライブラリー ホームページ (もりのみやキューズモール)>
http://machi-library.org/where/detail/563/
●今夜の選曲●
<門上選曲>
Summertime / 内田裕也とフラワーズ
<西林選曲>
Monte Adentro / Ry Cooder & Manuel Galban
<ラストソング/テーマ「休日」>
セレクター:西林初秋
Holiday / Madonna
門上武司・西林初秋が週替わりで担当する『放送後記』
今週の担当は西林さんです。
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今回の放送では、キューバ時代のヘミングウェイに関する本を2冊紹介しました。“パパ”というイメージが築かれた、酒と釣と創作と、ときたまアフリカでハンティングの日々。わたしが惹かれるのはパリ時代のヘミングウェイ。金も名声もなく、あるのは創作意欲だけ。作品もその当時の短編が白眉。「殺し屋」「雨のなかの猫」「五万ドル」など、体脂肪率4%のようなシャープな文体。自身はもちろん読み手の技量も信じ切った簡素な描写。これにしびれると長編はちょっとダレます(現に『武器よさらば』も『誰がために鐘は鳴る』も読み切っていないことを告白します)。そのパリでの修業時代の様子は『移動祝祭日』に書かれています。何度も読み返していますが、そのたびに思うのは、まだ、文豪にはほど遠い時代だけれど、パリ時代はヘミングウェイのゴールデンエイジだったかもしれないと。画像はヘミングウェイがよく通った、モンパルナスの「クロズリー・デ・リラ」の店内。若き作家がとくに気に入っていたカウンターは、ヘミングウェイシートになっています。
<西林初秋>



