一冊の古本から始まる話の旅。
話は転がって広がって。
本の内容は勿論、
時代背景なども垣間みることができる『三千円 一〝本〟勝負』。
来月もお楽しみに。
※今回ご紹介した本は、
大阪・もりのみやキューズモールの「まちライブラリー」で
読んでいただくことができます。
<まちライブラリー ホームページ (もりのみやキューズモール)>
http://machi-library.org/where/detail/563/
●今夜の選曲●
<門上選曲>
微熱少年 / 鈴木茂
<西林選曲>
Pinball Wizard / The Who
<ラストソング/テーマ「ワイン」>
セレクター:門上武司
Cherry Wine / Hozier
門上武司・西林初秋が週替わりで担当する『放送後記』
今週の担当は西林さんです。
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開高健から受けた影響ははかりしれません。文学もそうですが、酒への誘いも開高健でした。世界中のあらゆる酒を飲みつくした文豪が、最後に惑溺したのがマッカラン25年。晩年はその1本をこよなく愛したといいます。
「西林さん、2万5千円ほどで手に入りますよ」と教えてくれたのは曽根崎のバーテンダーのT。15年ほど前のことです。当時でも4、5万はしたと思います(今は25万円オーバー!最近では酒場でもお目にかかることはめったにありません)。断る理由はありません。お願いして、なにかの記念日に飲もうと店に預かってもらいました。数年後、その店は江戸堀へ場所を移します。引越の日、昼食へでかけた30分の間に、店のまえに置いていた荷物のなかでわたしのマッカラン25年だけが盗まれたのです。恐縮する店主をなだめる一方で、その酒だけを盗むなんて敵もやるもんだと、怒りより感心するココロが優ったのを覚えています。代償として教訓を得ました。酒は飾るものでもとっておくものでもない。飲むものだ。飲めるときに飲まなければならない。酒は生き物。人と同じ。逃げることもあるのです。
<西林初秋>