門上西林 物見遊山 【#160/2019.10.26】
2019-10-26

話は転がって広がって。
本の内容は勿論、
時代背景なども垣間みることができる『三千円 一〝本〟勝負』。
来月の最終週の土曜日もお楽しみに。
※今回ご紹介した本は、
大阪・もりのみやキューズモールの「まちライブラリー」で
読んでいただくことができます。
<まちライブラリー ホームページ (もりのみやキューズモール)>
http://machi-library.org/where/detail/563/
●今夜のお届けした曲●
M① Rehab / Amy Winehouse ......... (門上選曲)
M② It's The Same Old Song / Rod Stewart ........(西林選曲)
M③ 君の愛読書がケルアックだった件 / Porno Graffitti
(ラスト・ソング) ....… (門上選曲)
※今夜のラスト・ソング選曲テーマは『本』
門上武司・西林初秋が週替わりで担当する『放送後記』
今週の担当は西林さんです。
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今回の「三千円一本勝負」で、門上さんが選んだのは玉村豊男さんの作品。100冊を超える玉村作品のなかで、わたしにとってのイチバンは「パリ・旅の雑学ノート」です。はじめて手にしたのは、まだ、仏文科の学生のころ。当時はインターネットやスマホがない時代。ガイドブックも旅行社のものが大半で、観光ではなく、旅の情報はほとんど手にはいらず、学生にとっては「地球の歩き方」が唯一の頼りでした。
そこに現れたのが「パリ・旅の雑学ノート」。画期的でした。観光名所の紹介はありません。パリへの美辞麗句もなければ、知性とエレガンスの街という幻想を描くこともありません。カフェの役割や使い方、メトロの乗りこなし方、パリ特有の歩道の役割や石畳の歩き方、トイレの使い方、娼婦とポリスについてなど、とるに足らないことの羅列なのですが、それこそが旅人にとっては役に立つ情報で、そこに歴史や背景を織り交ぜることで、文化の香りもきっちりと立ちのぼる読み物になっている点がさすがでした。パリへロングステイしたとき、鞄の底にしのばせたことはいうまでもありません。日本でも、現地でも、何度も読んだものです。そして今回、本棚の奥からもぞもぞと取り出して発見したのは、「パリ」「旅」「雑学」「ノート」と、タイトルにわたしの好きなことばが4つも並んでいること。それは、いまだに惹きつけられるはずですわ。
<西林初秋>



