門上西林 物見遊山 【#273/2021.12.25】
2021-12-25

話は転がって広がって。
本の内容は勿論、
時代背景なども垣間みることができる『三千円 一〝本〟勝負』。
来月もお楽しみに。
※今回ご紹介した本は、
大阪・もりのみやキューズモールの「まちライブラリー」で
読んでいただくことができます。
<まちライブラリー ホームページ (もりのみやキューズモール)>
http://machi-library.org/where/detail/563/
●今夜の選曲●
<門上選曲>
青年は荒野をめざす/ ザ・フォーク・クルセダーズ
<西林選曲>
Years of Solitude / Astor Piazzolla & Gerry Mulligan
<ラストソング/テーマ「プレゼント」>
セレクター:門上武司
It's My Party (feat. Amy Winehouse) / Quincy Jones
門上武司・西林初秋が週替わりで担当する『放送後記』
今週の担当は西林さんです。
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もし、誰かから20世紀文学のベスト10をあげろといわれたとします。答えないまますませてしまうと思うのですが、その夜、ウイスキーを呑みながら追憶を反芻する気もします。5冊は決まっています。動かしようがありません。ジョイスの『ユリシーズ』、プルーストの『失われた時を求めて』、カフカの『城』、サルトルの『嘔吐』、そしてガルシア・マルケスの『百年の孤独』。意識の流れという技巧、無意識と記憶の関連、不条理の提言、物の崩壊と実存、そしてマジック・リアリズム。〝内なるものへの旅〟が20世紀文学の潮流だとすれば、マジック・リアリズムの登場からその流れは大きくうねり、21世紀の文学は外部へと流れ込んでいるようです。
それにしても、番組でも話しましたが、その内の2冊が千円にも満たない価格で古本屋さんに並んでいる現実は、冷静だけれどしたたかに価値の崩壊を突きつけられる衝撃でした。たくさんの水が橋の下を流れていったのですね。
<西林初秋>



