門上西林 物見遊山 【#018 / 2017.02.04】
2017-02-04

お二人のアイドル的存在の作家 片岡義男のエッセイ『万年筆インク紙』に触発されて始まった〝私達の万年筆インク紙〟に関するお話。
当然30分ではおさまりません。
お話は来週へと続きます。
西林さんが仰った「書くと言うことは考えることである」という言葉。
「う〜ん」私、思わず唸ったのであります。しばらく心の中に残りそうです。
●今夜おかけした曲●
M① Some Feeling / 安田南 ……………...(門上選曲)
M② Both Sides Now / Joni Mitchell…..(西林選曲)
M③ Paperback Writer/ The Beatles
M④ 風に吹かれてみたいから / 麻田浩…...(門上選曲)
※今月のエンディングソングのテーマは『風』
今回の『放送後記』の担当は西林初秋さんです。
本放送に合わせてコチラもお楽しみください。
…...【放送後記】…………………
我らがアイドル・片岡義男さんは多作の人です。現在、小説で、わかっているだけでも580作品以上!それにエッセー、評論を加えるとその数はどれくらいになるのでしょうか?
片岡さんは路上の人です。小さいときから学校の教室で教科書を開いたことはなかったと書いています。学びの場は、机上ではなく、放課後の路上。その学びはいまでもつづいているのでしょう。
片岡さんは偏愛の人です。文房具、小道具、ファッション、身の回りの物は、使って、試して、選びに選び抜いたものだけを使い込むタイプ。その偏愛ぶりが、1冊の書物にしたためられているのが最新刊の『万年筆、インク、紙』。286ページにわたって書かれているのは「万年筆」と「インク」と「紙」についてだけ。しかし読み終えると書くという仕事の根幹が伝わるようになっているのですね。このあたりが軽やかな技巧者、片岡さんです。
片岡さんは旅の人です。書斎や避暑地の椅子にじっとしている人ではありません。風に誘われてなんてことをおっしゃりながら国内や国外のあちらこちらへ。仕事だって、コーヒーのおいしい店をふらりと尋ねながらそこで。なんとも自由です。
そして片岡さんは試みの人です。書籍のインキの色を黒以外に指定するなんて朝飯前。番組でも紹介しましたが、『ミッチェル』では、ジョニ・ミッチェルの詩の写実的な部分を抜き出して、それを並べ替えて、1編の短編に仕上げるなんてことにも挑んでいます。また、この短編集のなかに入っている『あの少年の妹』は、あの少年に妹がいたら、彼女はどこで何をしているのだろうと想像の翼を広げたところから生まれたストーリー。その少年とは『ライ麦畑でつかまえて』のホールデン・コーンフィールド!なんという遊び心でしょう?
そんな片岡さんは1939年生まれ。歳を重ねると大家とか先生といわれるポジションに腰を据える作家が大半のなかで、いまなお少年の心で精力的に活動されています。だから我々はそんな片岡さんに憧れを抱かずにはいられないのです。そんな片岡さんのスタイルは、いつまでも我々のお手本でありつづけるのです。
<西林初秋>



