門上西林 物見遊山 【#303/2022.7.23】
2022-07-23

『水』
<西林選曲>
J'attendrai / Nadege
<門上選曲>
Watermelon Man / Herbie Hancock
<ラストソングの選曲テーマ>
「手紙」
セレクター:門上武司
さらば恋人 / 堺正章
門上武司・西林初秋が週替わりで担当する『放送後記』
今週の担当は西林さんです。
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ウイスキーの絵本のような、村上春樹の『もし僕らのことばがウイスキーであったなら』のなかで、アイルランドやアイラ島の人はウイスキーと水を半々くらいに割って飲むと書いています。元英国首相のアレックス・ダグラス・ヒューム卿は回顧録のなかで「ストレートで飲むのは味のわからないロンドンっ子だけだ」とも書いています。パブ巡りをしたバーテンダーは「現地で飲まれているのは圧倒的にビールでしたね」と教えてくれました。いつかスコットランドやアイルランドのパブを巡って真実を確かめたいという夢がムクムクと育っていきます。
しかしどのパブの水もミネラルウォーターではなく、タップウォーター(水道水)といいます。その土地でできた酒はその土地の水で割る。想像しただけでノドが鳴ります。「でも、それは真実なんですよ」と教えてくれたのは作家の村松具視さん。アイラ島へ取材に行ったときアイラウイスキーとアイラの水の組み合わせに感動して、以後はアイラの水を空輸して愉しんでいたと教えてくれました。なんて贅沢な呑み方。ウイスキーは琥珀の物語だとしたら、ストーリーがどんどん深くなるような愉しみ方です。
<西林初秋>



