FM COCOLO

靱公園 MUSIC FESTA FM COCOLO ~風のハミング~

HISTORY

2022

2022.4.29 [Holi]@靱公園センターコート特設会場

【出演アーティスト】
スターダスト☆レビュー/KAN/馬場俊英/トータス松本
4月29日、大阪のラジオ局·FM COCOLOが主催するスペシャルコラボレーションライブ『靭公園 MUSIC FESTA~FM COCOLO 風のハミング』が大阪·靭公園センターコート特設会場にて開催された。出演はスターダスト☆レビュー、KAN、馬場俊英、ゲストにはトータス松本(ウルフルズ)と、全組が同局でレギュラー番組を持つアーティストらが登場。本公演は「都会の真ん中で、大人のための音楽祭」をコンセプトに2011年秋にスタートし、今年で配信を含む10回目の開催に。毎年恒例の人気イベント、さらに3年ぶりの有観客での公演ということもあってチケットは早々に完売。当日は少し肌寒い春の雨が続いていたものの、360度にぐるりと展開する客席にはカラフルなポンチョをまとった約6000人の観客が集まり、一日限りの祝宴を大いに満喫していた。

スペシャルコラボレーションと銘打ったイベントは終盤に目玉となるステージが展開されることが多いが、“風ハミ”はライブに懸ける想いとサービス精神があふれまくっているので、開演前から“スペシャル”なことがよく起きる。総合司会を務める馬場俊英がナレーションを担当し、公演における注意事項などを伝える真っ最中にも、根本やKANが馬場にちょっかいを出して和気あいあいとしたムードで会場に笑いを届ける。さらに、雨の中で開演を待つ観客のためにと、楽屋から「The Longest Time/ビリー・ジョエル」をスターダスト☆レビュー、KAN、馬場俊英がアカペラで披露。タイトルのまま、待つ時間も苦にならない、これから始まるライブできっと幸せな時間が待っているはずと、期待の募るサプライズに観客の表情が和らぐ。

待ちに待ったイベントの始まり、トータス松本は祝宴の幕開けを祝うように「バンザイ~好きでよかった~」からエネルギッシュな歌声を響かせる。ゲストが1曲目から登場するのは“風ハミ”では異例だが、「イェーイ!」のたったひと声で全身に力が漲り、観客から大きな拍手が沸き起こる。曲後半からは根本要、KAN、馬場俊英もギター・コーラスで参加する、“風ハミ”ならではの贅沢なコラボステージへ突入。「る~る~る~」「草野球」「今夜だけきっと」と、互いの曲にコーラスで参加するも4人の歌声は個性も様々。それぞれの歌声の魅力を再確認するのはもちろん、4人の歌声が混ざり合うことで楽曲の個性がより際立って感じることができる。ハーモニーをテーマにした“風ハミ”、初っ端から満足度の高いステージが繰り広げられていく。

ソロステージはまずは馬場俊英から。野外の会場にブルースハープが心地よく響くバラード曲「ロードショーのあのメロディ」で力強く優しい歌声を響かせると、根本がブルージーなギターで参加した「敗者復活の街」では、聴く者の心を静かに奮い立たせていく馬場。「プロポーズをもう一度」ではバンドスタイルでの披露だけでなく、スターダスト☆レビュー、KAN、トータス松本がコーラスで参加。ここでしか観られない贅沢な歌唱、優しい気持ちになれる言葉の数々に心がぐっと締め付けられる。

続いてはKANのソロステージ。1曲目に選んだの「Le Raggazze」、イタリアのアカペラグループ、ネリ・ペル・カーゾの楽曲だ。“風ハミ”では洋楽のカバーメドレーがおなじみだったが、昨年は大人の事情で邦楽カバーのみに。3年ぶりに洋楽カバーが披露できるということもあり「ブイブイやりたい!」と意気込んでいたものの、イタリア語でのカバーは難易度が高いと他のメンバー全員に断られたとか。それでも「イタリア料理が好きな人たちに送ります♪」と弾き語りで届ける。続く、自身のオリジナル楽曲「エキストラ」は昨年の無観客での“風ハミ”ステージでも披露された楽曲だが、大勢の観客を前にしての歌唱はやはり格別。歌詞に込められた切ない想いに目頭がぐっと熱くなってしまう。しっとりとした雰囲気のままステージが進められるかと思いきや、“複雑なコーラスワークの楽曲を歌いたい!”というKANの熱望から「Uptown Girl/ビリー・ジョエル」では、全員参加での複雑なハーモニーを聴かせた。

個性あふれる歌声に満ちたイベントだが、お天気は生憎の雨模様が続く。突然の豪雨や雷雨は歴代の“風ハミ”でも経験はあったが、この日はさらに強い風も吹き荒れ、ステージの楽譜が飛んだり、KANのメガネが雨でビショビショに。しかも、トータス松本の愛用するアコースティックギターが強風で倒れてネックが折れてしまうというアクシデントも…。それでも、ボーカリスト全員がFM COCOLOでレギュラー番組を持つDJの顔を持っていることもあり、イベント中は終始笑いが絶えないトークが展開していく。ステージはそのまま、「お遊びのコーナー」と銘打って、3年ぶりの有観客ライブを開催するまでに起こった“素晴らしい出来事”を「Beautiful Sunday/ダニエル・ブーン」の替え歌で披露する「ビューティフル3年」という、前代未聞すぎるスペシャルな企画もお届け。しかも主役以外のメンバーはコーラスを担当するという、ベテランアーティストの贅沢すぎる無駄遣いも。“風ハミ”名物の360度ぐるりと回る人力ステージのおかげもあって、余すところなく彼らの姿を眺められるのもいい。

イベント中盤はトータス松本のソロステージ。今年でウルフルズがデビュー30周年を迎えるが、悪天候が続くなかでの野外ライブは自身のバンド人生でも経験がなかったと語り、「人前で歌うのがこのビューティフル3年の間減っていたので、舞い上がって力が入ってますけど、逆に燃えるね」と「ええねん/ウルフルズ」で全肯定の爽快なロックンロールを届ける。ギターをかき鳴らし、アップテンポに攻めていく楽曲に観客も拳を高く突き上げ音に応える。「僕がついてる/トータス松本」ではKANがピアノで伴奏。実はこの曲、KANが以前に弾き語りでカバーしていたことから、“風ハミ”で共演するならばとセレクトした楽曲とか。優し気に歌うトータス松本、KANのすっと心に染み込む歌声、2人の極上の歌声に酔いしれる観客たち。続く「明星/トータス松本」では馬場もアコギ&コーラスで参加。馬場は同曲が自身の楽曲にも強く影響を与えたと語り、力強いコーラスワークで後押ししていく。そして、スターダスト☆レビューが加わりフルメンバーで披露した「笑えれば/ウルフルズ」、“とにかく笑えれば 最後に笑えれば♪”、歌詞のひとつひとつに心が温かくなっていく。曲終わりには全員が歌詞のまんま“ガハハ”と笑うものだから、マスクをしているけれど観客みんなの表情がほころんでいるのが伝わってくる。

メンバー全員がステージに集まったところで、“風ハミ”名物の洋楽カバーへ。ゲストが出ずっぱりで歌い続けるのもまた“風ハミ”ならでは。今年はトータス松本のソウルフルな歌声を活かそうと、往年のソウルナンバーをチョイス。「ダンス天国/ウィルソン・ピケット」「I Feel Good/ジェームス・ブラウン」「SEPTEMBER/アース・ウィンド&ファイヤ」など、名曲をメドレーで展開。緻密に作りこまれたコーラスやハーモニーはもちろん、スタ☆レビバンドメンバーの演奏も抜群に気持ちが良い。4人が360度ステージから降りて、ソウルフルなおそろいのダンスを披露する貴重すぎるシーンもあったりと、ここが本来はテニスコートだなんてことを忘れて、会場はダンスホールさながらの盛り上がりを見せている。

冷たい雨は気付けば止んで、体がポカポカとしてきたところで最後はスターダスト☆レビューのソロステージへ。アマチュア時代から、これまで300回以上も大阪でライブを行ってきた生粋のライブバンドである彼ら。コロナ禍を経て、この街で今日もライブができて良かったと集まった観客に感謝の気持ちを伝え、「めぐり逢えてよかった」を披露。ハイトーン&しなやかでちょっとしゃがれた歌声を響かせ観客を圧倒すると、「夢伝説」「太陽の女神」と名曲を次々に披露。ラテンなノリに誘われ、気付けば観客は総立ち! トドメと言わんばかりに圧巻のシャウトが野外の会場に響き渡ると、イベントはいよいよ終盤へ。

「Boys on the Run/馬場俊英」「愛は勝つ/KAN」「ガッツだぜ!!/ウルフルズ」「愛の歌/スターダスト☆レビュー」と、各々の名曲を全員でセッションしていく。しかもトータス松本は同曲のMVでもおなじみのちょんまげ姿の殿様衣装での登場と、思わぬサプライズに観客は大興奮(27年前のMVで着用して以来とか。しかも当時の衣装は志村けんのバカ殿様の衣装のおさがりだったとか)。もちろん、それだけで終わらないのが“風ハミ”だ。MVのストーリー通りに倒れ込んだと思いきや、祈祷師に扮した馬場が“ガッツだぜ!!”とお祓いするわ、それをKANが実況するわと、もうステージの上はお祭り騒ぎ。

イベントは終始、「ライブは栄養源」「拍手を喰って生きている」という根本の言葉通り、出演者はもちろん、観客もみな互いに満面の笑みを浮かべて、久しぶりのイベントを大いに満喫。最終曲にはイベントオリジナル曲「靭のハミング」で出演者と観客全員で美しいハミングを響かせ、ステージは終幕。荒天を乗り越え、最後には満面の笑顔で笑いあった今年の「風のハミング」。観客が家路に向かう頃には大阪市内各所に大きな虹が上がり、美しい空が顔を覗かせていたので、来年の“風ハミ”は晴天に恵まれ、きっと良いことが起きるはず! そして次こそは広い空の下で、メンバーとともにハミングだけじゃなく、ともに笑い、歌い合って、また最高の時間を過ごせることを期待したい。

Text by 黒田奈保子
Photo by 田浦ボン/河上良


SONG LIST

  • 「バンザイ」by トータス松本
  • 「る〜る〜る〜」by KAN/根本要/馬場俊英/トータス松本
  • 「草野球」by 馬場俊英/根本要/KAN/トータス松本
  • 「今夜だけきっと」by スターダスト☆レビュー/KAN/馬場俊英/トータス松本
  • 「ロードショーのあのメロディ」by 馬場俊英
  • 「敗者復活の街」by 馬場俊英/根本要/添田啓二
  • 「プロポーズをもう一度」by 馬場俊英/スターダスト☆レビュー/KAN/トータス松本
  • 「Le Ragazze」by KAN
  • 「エキストラ」by KAN
  • 「Uptown Girl」by KAN/スターダスト☆レビュー/馬場俊英/トータス松本
  • 「ビューティフル3年」by 根本要/KAN/馬場俊英/トータス松本
  • 「ええねん」by トータス松本
  • 「僕がついてる」by トータス松本/KAN
  • 「明星」by トータス松本/KAN/馬場俊英
  • 「笑えれば」by トータス松本/スターダスト☆レビュー/KAN/馬場俊英
  • 「Soul Medley」
    1.『ダンス天国(Land of 1000 Dances)』(ウィルソン・ピケット)
    2.『 I Got You (I Feel Good)』(ジェームス・ブラウン)
    3.『ドック・オブ・ベイ』(オーティス・レディング)
    4.『マイ・ガール』(テンプテーションズ)
    5.『ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー』(サム・クック)
    6.『男が女を愛する時(When a Man Loves a Woman)』(パーシー・スレッジ)
    7.『End Of The Road』(ボーイズ II メン)
    8.『SOUL MAN』(サム&デイヴ)
    9.『September』(Earth,Wind&Fire)
    10.『I'll Be There』 (ジャクソン5)
    by スターダスト☆レビュー/KAN/馬場俊英/トータス松本
  • 「めぐり逢えてよかった」by スターダスト☆レビュー
  • 「夢伝説」by スターダスト☆レビュー
  • 「太陽の女神」by スターダスト☆レビュー
  • 「Boys on the Run」by 馬場俊英/スターダスト☆レビュー/KAN
  • 「愛は勝つ」by KAN/スターダスト☆レビュー/馬場俊英
  • 「ガッツだぜ!!」by トータス松本/スターダスト☆レビュー/KAN/馬場俊英
  • 「愛の歌」by スターダスト☆レビュー/KAN/馬場俊英/トータス松本
  • 「靭のハミング」by スターダスト☆レビュー/KAN/馬場俊英/トータス松本
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