1日目 REPORT4/27イベントレポート

『音礼・綴』初日、大貫妙子、吉川晃司、SING LIKE TALKING、高野寛、Char、宮沢和史、矢野顕子、山弦が夢の饗宴「今日は忘れられない日になるだろうと確信していました」

『SUPER J-HITS RADIO 30th Anniversary Live「音礼・綴(おんれいつづり)」』が、4月27・28日に大阪・フェスティバルホールで開催された。

『音礼・綴』は、1995年4月にFM802で放送をスタート、2016年4月からはFM COCOLOで時代を越えて輝き続ける日本の音楽を届けてきた、邦楽専門ラジオ・プログラム『SUPER J-HITS RADIO』(日曜19:00~21:00 OA)の30周年を記念したコンサート・イベント。

4月27日には大貫妙子、吉川晃司、佐藤竹善+藤田千章 from SING LIKE TALKING、高野寛、Char、宮沢和史、矢野顕子、山弦(小倉博和+佐橋佳幸)、同28日には奥田民生、スキマスイッチ、仲井戸“CHABO”麗市、藤井フミヤ、真心ブラザーズ、矢野まき、山弦(小倉博和+佐橋佳幸)、吉田美奈子が出演。両日の演奏を斎藤有太(音楽監督/Key)、森 俊之(Key)、河村“カースケ”智康(Ds)、亀田誠治(B)、真壁陽平(G)、金原千恵子(Vln)、山本拓夫(Sax)らによるSJR CLUB BANDが担当するなど、放送開始より同番組のDJを務めてきた加藤美樹がオーガナイズした豪華ラインナップが、2日間にわたるスペシャルなショーを彩った。

山弦

初日となる27日は、開場中もまさにJ-HITSと言える名曲・ヒット曲がBGMとして流れ、深紅の座席がみるみるうちに多くの観客で黒く染まっていく。開演と同時に加藤美樹が『SUPER J-HITS RADIO』の長い歴史をたどり、まずは小倉博和と佐橋佳幸によるスーパーギターデュオ、山弦のライブから……と思いきやスピーカーから音が出ず、一旦、緞帳を降ろすといういきなりのハプニング! 音響機材の復旧後、少し照れながらも何事もなかったかのように再び現れた加藤美樹に、場内はかえって大盛り上がりだ。気を取り直しての「Coast To Coast」で音楽が躍動し始めれば、もう安心。美しい照明の下で爪弾かれた軽やかなメロディは、『音礼・綴』の幕開けを優しく告げていた。

大貫妙子

加藤美樹による曲間のトークはラジオ番組さながらで、お次は昨年デビュー50周年を迎えた大貫妙子がステージへ。30年来の仲という山弦とSJR CLUB BANDというぜいたくな編成をバックに、山弦のインスト曲「祇園の恋(GION)」に自ら歌詞を付けた「あなたを思うと」を切々と歌った彼女は、「いい曲に巡り会うと歌詞を書きたくなるんです」と山弦のソングライティングを称賛。続く「都会」でも、かれんな歌声をフェスティバルホールに響かせる。「ピーターラビットとわたし」でもコケティッシュな魅力を振りまき、斎藤有太と森 俊之のキーボードや金原千恵子のバイオリン、山本拓夫のフルートも、おもちゃ箱のように多彩な音色で花を添えていた。

高野寛

高野寛は「今日は素晴らしいイベントに参加できて本当にうれしいです。1曲目に歌いたいのは2000年に佐橋さんのプロデュースでレコーディングした、ちょっと風変わりな曲」という「Bye Bye Television」からスタート。ノスタルジーかつ今の時代にも通じる普遍のメッセージがぬくもりとともに広がっていく。「今日は皆さんもすごく胸を膨らませて楽しみにしていたと思うんですけど、出演している僕らも同じで。しかも大阪でしかやらないんですよ。『SUPER J-HITS RADIO』30周年おめでとうございます!」と祝福し、ここからは「ベステンダンク」、「虹の都へ」とヒット曲を連発! 一時代を築いたどこかストレンジなポップソングの数々に、彼が音楽シーンで成し得た功績と個性を思い知らされた。

宮沢和史

鮮やかなブルーのシャツをまとった宮沢和史は、斎藤有太の旋律をバックにかつてKinKi Kids(現DOMOTO)に楽曲提供した「Next to you」を披露。満員のフェスティバルホールを歌とピアノのみでうならせる圧倒的な求心力に、水を打ったように静まり耳を傾けるオーディエンス。「ビールのおいしい季節になってきましたね。特に水色のビールが(笑)」と、現在clammbonの原田郁子によるカバーバージョンが起用されているCMに触れ場を和ませた後は、その「風になりたい」で会場をひとときの南国に変えるなど、静と動の両面で見る者を引き付ける。「素晴らしい音楽家の方々と皆さんと一緒に歌えて、この上なく幸せです。あと、僕は一方的にこの方の弟子だと思っています(笑)」と矢野顕子を呼び込み、ラストは人前でそろって歌うのは26年ぶりという「二人のハーモニー」を。『音礼・綴』がつないだ縁がまた名演を生み出した。

矢野顕子

FM COCOLOのDJ仁井聡子の題字による、『音礼・綴』の巨大なタペストリーが紫の明かりで染まる中、おもむろに一人ピアノを弾き始めた矢野顕子。「音楽はおくりもの」では、“きょうは 大貫妙子の曲を聴こう”という歌詞に「本人の前だけどね」と入れ込むちゃめっ気でも沸かせ、「大貫さんは去年50周年、私は後輩なので今年で50周年。キャリアが長くなるとどんな曲を書いたのか思い出せないこともあります。忘れたらその場で作る。そうやって50年やってきました(笑)」と彼女。まるでフリージャズのような「ラーメンたべたい」も圧巻で、今日しか聴けない/歌えない、これぞライブなパフォーマンス。最後は「きっと皆さまに一番愛してもらえている曲をやります。もし覚えていたら一緒に……と言っても私の場合、みんなのことを考えず私が歌いたいように歌うけど。50年これでやってきました(笑)」と「ひとつだけ」へ。矢野顕子の発する全てに魅了された全3曲だった。

山弦

「お二人がきっかけでミュージシャンの音楽人生を振り返る特集「KEY OF LIFE」が始まりました。心からの感謝を」という加藤美樹の言葉を受け再登場した山弦は、アコースティックギターを手に取り季節にぴったりの「春(SPRING)」を。それに合わせて『音礼・綴』のタペストリーが今度は桜色に照らされるニクい演出で、「聴こえていますか?(笑) どうも、山弦です」と小倉博和が和ませ、「しゃべると長引くからメドレーで、ヒット曲じゃなくて代表曲を(笑)」と佐橋佳幸。とろけるようにメロウな「rise & shine」~小倉博和がボディヒットを駆使した「JOY RIDE」では、二人の見事なギタープレイの応酬でも大いににぎわせた。

Char

佐橋佳幸が「実は今日、地元の先輩が出演されるんです。昭和のビッグアイドルをご紹介します!」とCharを招き入れると、そこに日本屈指のギタリストが三つどもえという『音礼・綴』ならではの景色が生まれ、「気絶するほど悩ましい」を3人で。ギターのみならず色気漂うボーカルも最高にクールなCharは、「うるさいよ俺のエレキ、大丈夫? 長らく人前で立って弾いていないので失敗するかもしれないですけど、そのときはまた今日のオープニングみたいに一からやります(笑)」と笑わせたが、「Smoky」のあのブレイクが決まれば、そんな心配はご無用と言わんばかりに総立ちのコール&レスポンスまで発生する。CharがSJR CLUB BANDのメンバーにもソロを促し、そのまま「Still Standing」へと突入した流れも絶品で、Char×佐橋佳幸のギターの掛け合いもゴージャスの極み。最強のバンドを率い至高のサウンドを轟かせたCharだった。

吉川晃司

加藤美樹が『SUPER J-HITS RADIO』内のコーナー「KEY OF LIFE」でもピックアップされたすご腕が集まったSJR CLUB BANDを紹介後、出てくるなり場内大興奮となった吉川晃司は、ド派手なライティングを浴びたCOMPLEXのナンバー「1990」から孤高のボーカリストの本領発揮。自らギターも弾き真壁陽平とのユニゾンもキメる独壇場で、「ギムレットには早すぎる」でも容赦なく熱量を上げていく。斎藤有太のピアノにいざなわれ歌い上げた「LA VIE EN ROSE」も何ともセクシーで、スタンドマイクをつかんだ姿は紛れもないロックスター。縦横無尽に動き回りアピールするカリスマぶりに、イベントであることを忘れるほどの没入感で、強烈な余韻がいつまでも体を離れない吉川晃司のライブだった。

佐藤竹善+藤田千章 from SING LIKE TALKING

「今日は忘れられない日になるだろうと確信していました」とかみ締めた加藤美樹がコールし、SING LIKE TALKINGの佐藤竹善と藤田千章がジョイン。舞台の上手には西村智彦の愛機のギターが飾られたところからも、彼らのアティチュードがうかがえる。「Rise」ではフェスティバルホールですら軽々貫く佐藤竹善の歌唱力、SJR CLUB BANDと一体となって繰り出す分厚い音像が聴き応え十分。佐藤竹善がトーキングドラムを叩いた生命力溢れる「La La La」では、藤田千章の壮大なシンセもSING LIKE TALKINGのカラーをより際立たせる。「去年の6月にギターの西村智彦を亡くして、ずっとSING LIKE TALKINGとしての活動はしていなかったんですけど、美樹ちゃんが声を掛けてくれてすごくうれしかった。ただ、まさかCharさんと吉川さんの後にやるなんて(笑)。大阪と言うと、この曲がなかったら僕らは今頃3人とも青森に帰っていたと思います。大事な曲です」と佐藤竹善が語ったのは、不朽の名曲「Spirit Of Love」。佐藤竹善の鍵盤と河村“カースケ”智康のパーカッションを残し、板の上の全員が歌う光景は、音楽のかけがえのない力を存分に感じさせてくれた。

山弦

「西村さんも来てくれていたかな?」と加藤美樹が空を見上げ、SING LIKE TALKINGとの思い出話に花を咲かせる。そして、本日の出演者とSJR CLUB BANDを改めて呼び寄せ、「何て豪華な……!」と加藤美樹が言うのも納得の面々で記念撮影。最後は山弦が、『SUPER J-HITS RADIO』のエンディングテーマである「月星 / tsukihoshi」で、盛大な宴の初日を締めくくった。

なお、この日の模様はFM COCOLO『SUPER J-HITS RADIO』にて6月7日(日)、14日(日)にオンエアされる。

Text by 奥“ボウイ”昌史

SET LISTセットリスト

  • Coast To Coast / 山弦

  • あなたを思うと / 大貫妙子×山弦

  • 都会 / 大貫妙子×山弦

  • ピーターラビットと私 / 大貫妙子×山弦

  • Bye Bye Television / 高野寛

  • ベステンダンク / 高野寛

  • 虹の都へ / 高野寛

  • Next To You / 宮沢和史

  • 風になりたい / 宮沢和史

  • 二人のハーモニー / 宮沢和史×矢野顕子

  • 音楽はおくりもの / 矢野顕子

  • ラーメンたべたい / 矢野顕子

  • ひとつだけ / 矢野顕子

  • 春(SPRING) / 山弦

  • rise & shine~JOY RIDE / 山弦

  • 気絶するほど悩ましい / Char×山弦

  • Smoky / Char

  • Still Standing / Char

  • 1990 / 吉川晃司

  • ギムレットには早すぎる / 吉川晃司

  • LA VIE EN ROSE / 吉川晃司

  • Rise / 佐藤竹善+藤田千章 from SING LIKE TALKING

  • La La La / 佐藤竹善+藤田千章 from SING LIKE TALKING

  • Spirit Of Love / 佐藤竹善+藤田千章 from SING LIKE TALKING

  • 月星 / tsukihoshi / 山弦

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