物見遊山
門上西林 物見遊山 【#321/2022.11.26】[11.26 sat]

一冊の古本から始まる話の旅。
話は転がって広がって。
本の内容は勿論、
時代背景なども垣間みることができる『三千円 一〝本〟勝負』。
来月もお楽しみに。
※今回ご紹介した本は、
大阪・もりのみやキューズモールの「まちライブラリー」で
読んでいただくことができます。
<まちライブラリー ホームページ (もりのみやキューズモール)>
http://machi-library.org/where/detail/563/
●今夜の選曲●
<門上選曲>
どうしようかな / 村八分
<西林選曲>
「禁じられた遊び」のタイトルテーマ/ Narciso Yepes
<ラストソング/テーマ「手帳」>
セレクター:西林初秋
Forever / PUSHIM
門上武司・西林初秋が週替わりで担当する『放送後記』
今週の担当は西林さんです。
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エッセイストの松浦弥太郎さんは、いまでも飽くことなく、肌身離さず置いている2冊の本を『日々の100』のなかで紹介しています。ジャック・ケルアックの『路上』とヘンリー・ミラーの『北回帰線』。他人にもすすめられるかというと、うなずけないと書くところに著者の人柄がしのばれます。
ヘンリー・ミラーがパリでの放蕩生活を綴った『北回帰線』は、私も何度も読み返している1冊。この本をきっかけに全集を揃えるまでになりました。発表は1934年のパリ。アメリカでの出版は1961年まで待たなければなりませんでした。しかし発刊後すぐ発禁。性表現が法に触れるというのです。連邦最高裁がわいせつ文書ではないと判断するまでには数年の争いがありました。以後は現代アメリカ文学を代表する作品として、多くの若者に影響を与えたことはみなさんご承知の通り。
今回、このコラムを書くために久しぶりに読み返しました。どの性表現が法に触れるのかまったくわかりません。禁じられる理由も基準も、時代とともに変遷することを改めて思いました。
<西林初秋>