物見遊山
門上西林 物見遊山 【#99/ 2018.8.25】[8.25 sat]

一冊の古本から始まる話の旅。
話は転がって広がって。
本の内容は勿論、
時代背景なども垣間みることができる『三千円 一〝本〟勝負』。
来月の最終週の土曜日もお楽しみに。
※今回ご紹介した本は、
大阪・もりのみやキューズモールの「まちライブラリー」で
読んでいただくことができます。
<まちライブラリー ホームページ (もりのみやキューズモール)>
http://machi-library.org/where/detail/563/
●今夜のお届けした曲●
M① 炎のファイター 〜INOKI BOM-BA-YE〜
/ アントニオ猪木.........(西林選曲)
M② ワインカラーのときめき / 新井満 ......…… (門上選曲)
M③ Vacation / Connie Francis
(エンディング・ソング) .........…(門上選曲)
※今月のエンディング・ソングの選曲テーマは『バカンス』
今回の『放送後記』の担当は門上さんです。
本放送に合わせてコチラもお楽しみください。
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日本の文学界を左右する文学賞は、やはり芥川賞と直木賞になるであろう。
昭和10年、当時文藝春秋社の社長であった菊池寛が文学界の振興のために設定した賞である。芥川賞は純文学が対象、短編・中編、新人となり、一方の直木賞は大衆文学で長編、ベテランとなる。1月と7月、年に2回受賞作が生まれる。
30年ほど前は小説雑誌を頻繁に読み、自分なりにそれぞれの候補作を予想したものだ。しかし、最近はめっきり小説雑誌を手にすることも少なくなり、新人作家に目を向けるということがなくなった。
じつは一度だけ直木賞・芥川賞に授賞式に参加したことがあった。
1978年下半期第80回のこと。直木賞は宮尾登美子の「一絃の琴」と有明夏夫の「大浪花諸人往来」。芥川賞は受賞作無しであった。有明夏夫さんという作家と知り合いであり、先輩がこの授賞式にも関与していることもあり、運よく出席することができたのだ。とはいえ、その時25歳の若僧である。受賞式には山口瞳、水上勉、五木寛之など錚々たる作家がいるのだ。こちらとしては作品を通じて憧れを抱く人たちばかりだ。緊張するあまり、ほとんど話すこともなく、ただただ挨拶を聴き逃すまいと直立不動で耳をそばだてていたことしか記憶にない。
唯一、山口瞳さんが有明夏夫さんの「大浪花諸人往来」のついて論評をされた時に過去の作品について「私は読み違いをしていた」と話された。これを聞いた時に、やはり山口瞳さんは、毎年成人式当日にサントリーの新聞広告で「成人おめでとう」という文章を書くだけの人物だと妙に感心したのであった。
そんなことを思い出しながら、その山口瞳さんの新聞広告の後は、今回取り上げた伊集院静さんが同様のエッセイを書いている。
<門上武司>