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物見遊山

門上西林 物見遊山 【#60 / 2017.11.25】[11.25 sat]

一冊の古本から始まる話の旅。
話は転がって広がって。
本の内容や著者の思いは勿論、
時代背景なども垣間みることができる『三千円 一〝本〟勝負』。
来月の最終週の土曜日もお楽しみに。

※今回ご紹介した本は、
大阪・もりのみやキューズモールの「まちライブラリー」で
読んでいただくことができます。

<まちライブラリー ホームページ (もりのみやキューズモール)>
http://machi-library.org/where/detail/563/

●今夜おかけした曲●
M① YOKOHAMA  HONKY  TONK  BLUES/ 松田優作 ... (西林選曲)
M② ZOO / ECHOES                         …… (門上選曲)
M③ The Sad Cafe / The Eagles
                        (エンディング・ソング).…(西林選曲)  

※今月のエンディング・ソングの選曲テーマは『夜』

今回の『放送後記』の担当は門上さんです。  
本放送に合わせてコチラもお楽しみください。
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作家にとって芥川賞・直木賞はすこぶるつきの名誉である。レストランにおけるミシュラン・三ツ星のような存在ともいえる。小説を書く作家なら、誰もが欲する文学賞である。幻冬舎・社長の見城徹さんは、村松友視さん、つかこうへいさん、山田詠美さんなど、角川書店時代から現在までおそらく直木賞作家をもっとも多く排出された人物だと思う。
その見城さんが現役編集者時代に話を聞いたことがある。「作家は疾病を抱えています。編集者は書かせることによってその疾病を治す、あるいは和らげるのが仕事なのです」と語ってくださった。それは肉と肉をぶつけ合い、お互いに血を流すことでもある、とも表現された。傷口に塩を塗り込み、その痛さに耐えられなくなってペンを走らせることもある。というようなことも話された。その疾病を抱えながら作家は書き続けるのだ。じつは、番組内で直木賞受賞パーティーに出席したことがあると話した。作家は有明夏夫さんであった。「野性時代」という雑誌で連載された「大浪花諸人往来」という捕物帖である。たしか有明さんは何度目かのノミネートで受賞された。その時の担当編集者が見城徹さんであり。見城さんにとっても初の直木賞受賞作家であったのだ。
じつは、来年秋に僕がもっとも気に入っている静岡の「成生」という天ぷら屋の志村剛生さんのドキュメントを書き下ろすことになった。見城さんがこの「成生」のことを気に入っておられるを知り、直談判で出版を持ちかけた。「やりましょう。料理の本ではなく、あの天ぷらの概念を変える志村さんという料理人の人生が知りたいですね」と答えてくださった。これで静岡にも通う口実ができたわけだ。料理は人である。ということをより深く実感している。

<門上武司>