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トリノの「美しい夏」と「ナポリの宝石」[8.6 wed]

Buongiorno a tutti! (ブオンジョルノ・ア・トゥッティ)
こんにちは。
どうも、僕です。野村雅夫です。

今月は、イタリア映画が2本、全国公開です。そのうちの1本が、今日放送でラウラ・ルケッティ監督が番組にメッセージを寄せてくれた『美しい夏』です。こちらは、先週金曜日から映画館にかかっています。僕の故郷、トリノが舞台ですよ。

イタリア映画の場合、原作小説があっても邦訳のないことが多いのですが、『美しい夏』が文学界の巨匠と呼ばれるチェーザレ・パヴェーゼだけあって、日本語でも読めます。しかも、文庫で。パヴェーゼという人は、1950年に41歳の若さで亡くなっているので、僕がイタリア語を学ぶ学生だった頃までは卒業論文のテーマに選ぶような人もいたでしょうが、僕にとっては現代文学の範疇に入れては考えていないところがありました。

それが、まさか今になって、まさに美しい作品としてスクリーンでお目にかかることができるとは! 僕はその一報を聞き、事務所の本棚にあったこの岩波文庫を引っ張り出したのです。訳者は、河島英昭さん。面識はないですが、日本におけるイタリア文学紹介の第一人者でいらっしゃった方です。ただ、今手に入る文庫版は2004年に出たもので、新たな訳者あとがきが付いているものの、訳自体はは1973年のもの。正直なところ、訳が悪いのではなく、古いと感じるところも多々あり、生意気なことは百も承知ですが、僕ならこう訳したいと思うこともちょくちょくありました。そんな調子だったので、物語世界に入るのに少しつまづきもありましたが、途中からはやっぱりグイグイ引き込まれます。税込み715円とべらぼうな安さなので、良かったら映画と合わせてどうぞ!

そして、もう一本は現代イタリア映画の鬼才と呼びたいパオロ・ソレンティーノ監督の『パルテノペ ナポリの宝石』で、8月22日ロードショーです。こちらは、公式パンフに僕が解説を書いていて、31日には京都でトークショーも行いますよ。このイベントの方は、あと若干名ですが、チケットあり。詳しくは、僕の会社、京都ドーナッツクラブのホームページをどうぞ。

今日も15時まで、聴ける範囲でのおつきあい、よろしくです。