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ケンナの写真は俳句の世界[5.28 wed]

Buongiorno a tutti! (ブオンジョルノ・ア・トゥッティ)
こんにちは。
どうも、僕です。野村雅夫です。

日曜日の午前中にサクッと行ってきたのは、何必館・京都現代美術館です。ここは北大路魯山人のコレクションも有名ですが、同時に写真もたくさんアーカイブされております。今回は風景写真の大家の作品群を拝めると聞いて、旅が恋しくなってきていた最近なので、出向いた次第です。

写真に明るくない僕は名前ぐらいしか知らなかったマイケル・ケンナ。イギリス出身で現在はアメリカで暮らしている、という紹介にはなるんですが、正確には「旅を棲家として」暮らしているという感じでしょうか。なにしろ、世界40カ国以上を巡りながら、ほぼすべてモノクロームで風景写真ばかりを撮り続けているのですから。

鑑賞者である僕たちは、世界各地の風景と向き合うことになるわけですが、そこには「一瞬が切り取られた」というよりも「時間が凝縮された」印象があるなと思っていたら、それもそのはずで、ケンナ氏は長時間露光をよく使われるんですね。つまり、カシャッとシャッターを切るのではなく、三脚を立てて構図を決めたら、シャッターをしばらく開けっ放しにして、風景としばらく向き合うんです。そうしてできた作品は、具象でありながら程よく抽象化されて、音で言えばノイズが削られて、文学で言えば何だか俳句のよう。

初めて目にしたマイケル・ケンナの作品ですが、すっかり気に入った僕は勢いで写真集も購入。その後、祇園周辺をうろついていたら、同じくケンナの写真集を持ち歩いている30代ぐらいの男性を見かけて、「やっぱり買いましたか! 良かったですよね」と話しかけたい気持ちは、抑えておきました。

マイケル・ケンナ展は、6月29日まで!

今日も15時まで、聴ける範囲でのおつきあい、よろしくです。