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☆内田ラグビー部長のラグビー通信 10月9日号☆[10.9 mon]

昨夜行われた日本 VS アルゼンチンの結果を踏まえて、
内田ラグビー部長が、涙をぬぐいながら、原稿を届けてくれました。。。
昨日の試合も、熱かったです…!


ラグビーワールドカップ2023 フランス大会は、
予選ラウンドの全ての試合を終え、決勝トーナメントに進出する8カ国が決定しました。

プールAは開催国・フランスが最終戦でイタリアに60対7と圧倒。
全勝でA組1位での予選通過を決定。
プールA2位は、こちらもウルグアイに73-0と大勝し上り調子のニュージーランドが決勝に進みます。
プールBは、日本時間10/8(日)の早朝、その試合の結果次第でどちらにも
準々決勝進出の可能性が残るアイルランドとスコットランドが激突、
アイルランドが36-14で勝利し4戦全勝で首位通過を決めました。
2位は3勝1敗の南アフリカ、2勝2敗のスコットランドは2大会連続の予選敗退となってしまいました。
最もドラマチックな展開となったのは、プールC。
1試合を残してすでに決勝トーナメント進出を決めていたウェールズがジョージアを43-19で下し1位をキープ。
そして、オーストラリアから金星をあげ、
今大会のダークホース的な存在となりつつあったフィジーがそのままスムーズに2位通過を決めるかと思われましたが、
そう簡単にはいかないのがワールドカップ。
2007年以来本大会出場2回目のポルトガルが予選全試合で最後の試合となるフィジーとの一戦で、
好ゲームを展開。終了間際にトライを奪いその後のゴールキックで24-23と逆転、
世界ランキング16位のポルトガルが、格上となる世界ランキング8位のフィジーから
歴史的なワールドカップ初勝利を挙げました。
ただ、フィジーは7点差以内の敗戦で得られるボーナスポイント1を得たため、
勝ち点ではオーストラリアと並ぶものの直接対決で勝利しているため、辛くも2位で準決勝進出。
これにより、オーストラリアがワールドカップ史上初めて予選で姿を消すことになりました。
そして、日本を含むプールD。こちらもイングランドがサモアに1点差での勝利をものにし、
全勝で予選通過を決定、プールD2位の座をかけて昨晩日本代表がアルゼンチンと対決しました。

☆もちろん僕は、大阪ステーションシティ5F 時空の広場で開催された、パブリックビューイングの会場で日本代表を応援してきました!!


いずれにとっても、勝てば決勝トーナメント進出、負ければそこで終わり。という絶対に負けられない戦い。
常に緊張感のある見応えのあるゲームとなりました。
開始2分でいきなりトライとゴールを奪われ0-7となった日本。
そのトライは1対1のタックルをパワフルなランニングで突き破られてしまって生まれたもので、
一見すると日本のミスで簡単にトライを取られてしまったように見えますが(事実タックルミスではあるのですが)、
まさにあのプレーにアルゼンチンが日本を研究しプランとして持っていたであろうコトが現れていました(と内田は思います)。
それは、「できる限り、日本に組織的な防御をさせないこと」。
あのシーンも、ボールを持ったプレイヤーが勢いよく日本のディフェンスに向かって走り込む一方、
複数のランナー(サポートする周りのプレーヤー)が同時にそのボールを持っているプレイヤーの周りに走り込み、
日本に的を絞らせないように仕掛けました。
その結果、日本がやりたいダブルタックル、つまりボールを持っているプレイヤーに対して二人でタックルに入る。ということができない1対1の状況を作り出し、
パワーとスピードで日本を弾き飛ばしてクリーンブレイクをしたのです。

ただ、日本もそこから落ち着きを取り戻し、簡単には突破されないように修正します。
その後、前半16分にアマト・ファカタバが自身の絶妙なキックを再び捕球しそのままトライ。
ゴールも決まって7-7の同点とするものの、23分にラブスカフニがイエローカードをもらい、
10分間ひとり少ない14人で戦うことになります。
そのひとり少ない時間に、キックのクリーンキャッチから防御を突破され、トライを献上。
さらにペナルティーゴールも決められ引き離されかけるものの、
今大会初登場のシオサイア・フィフィタ選手のランニングから斎藤直人選手がトライ、キックも決まり、
1点差の14-15で前半を終了、試合を折り返します。
まさに一進一退、互角の戦い。

前半同様、開始早々に比較的簡単にトライを奪われる展開から始まった後半。
松田選手のペナルティーゴールとレメキ選手のドロップゴールで20-22と2点差に迫るも、
またその直後にトライを奪われます。
これもスペースにスピードあるランナーが走り込み、そのスピードとパワーで日本を振り切られるプレーで失点しました。
しかし日本もまた素晴らしいパスワークから、後半25分にナイカブラ選手がトライ。
難しい角度のゴールキックを松田選手が決め、27-29と再び2点差に。
けれども、そのあたりから徐々に日本の防御に綻びが生まれはじめます。
試合開始から終始パワフルなランニングを繰り返すアルゼンチンにタックルを浴びせ続けた日本代表ですが、
疲れが見えはじめた時間帯、それまでは止められていたアルゼンチンのキレのあるランニングを止め切ることができず失点。
最後の最後まで果敢にトライを奪おうと挑みましたが、
27-39というスコアで敗れ2大会連続の準々決勝進出は叶いませんでした。

試合のスタッツ(データ)を見ると、地域の支配率もボールの支配率もほぼ互角。
どちらに勝利が転がってもおかしくない互角の試合を日本代表は繰り広げたことがわかります。
ただ、この日はアルゼンチンが本当に強かった。
(内田が観る限り)アルゼンチンはこの大会に入ってからのベストゲームが昨日の試合でした。
日本はタックルをした回数もその成功率もアルゼンチンを上回りましたが、
アルゼンチンのタックル数も彼らのこれまでの試合を通じて最も多い数字。
この試合の焦点となった「規律」においても素晴らしく、アルゼンチンがペナルティーを犯した回数は
これまでで最も少ない7回。
日本はさらにそれを下回るペナルティー6回という数字でしたが、
そのタイミングが悪く、相手のペナルティーゴールで失点につながるシーンが多かったことが悔やまれます。
もうひとつ特徴的なのが、アルゼンチンがプレー中の戦術としてキックを選択した比率が67%という事。
これまでの彼らのその平均は44%でした。
彼らは意図的に日本に対してキックを多用したわけです。
なぜなら、キックされたボールを日本の選手が二人で一緒に取るわけにはいきません。
つまり、このキックをした後のボールの取り合いも、組織的なプレーで対抗しようとする日本に対して、
1対1というシチュエーションを生み出すためのアルゼンチンのプランのひとつだったわけです。
さらにその上で、アルゼンチンのキャッチングの精度がとても高く、
こちらがキックしたボールも含めて何度も彼らにボールを奪われる結果となりました。
全てにおいてこれまでの試合以上に質の高いプレーが多かったアルゼンチン。
それほど彼らもこの試合にかけていたことが伺えます。

ラグビーワールドカップをエベレスト登山に例え、
優勝という頂を目指した日本代表の旅は、これで幕を下ろすことになりました。
しかし、今回の日本代表が作り上げたレガシーやカルチャーは、
また次の代表に必ず受け継がれていくと思います。
4年後を目指してさらに強くなる日本代表に引き続きご期待ください。

そして、ラグビーワールドカップ2023フランス大会はまだまだ続きます。
予選プールを勝ち抜いた8カ国による決勝トーナメント。
どの国が優勝してもおかしくないと感じる、力が拮抗した今大会。
この機会にラグビーに興味を持たれた皆さんも、
これまでもずっとご覧になられていた方も、世界最高峰のプレーの数々をぜひその目に焼き付けていただきたいと思います。

いやあ、ラグビーって本当にいいものですね!



いかがですか!この分析力…!!
この情報をもとに、引き続き、ラグビーワールドカップ2023フランス大会、
追いかけていきましょう!


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