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☆内田ラグビー部長のラグビー通信 10月2日号☆[10.2 mon]
10月に入ってますます盛り上がっているラグビーワールドカップ!!
今日は、内田ラグビー部長のアルゼンチン戦への考察をお届けします。
皆さんも次戦をイメージしながら、読み進めてみてください!
(ラグビー部長の長年の経験、私見もありますので、ふむふむ…と読んでくださいませ!)
4週目に突入した、ラグビーワールドカップ2023フランス大会。
いよいよ予選ラウンドも大詰め、
各プールごとに決勝進出をかけた熾烈な争いが繰り広げられています。
すでにご存知の方も多いと思いますが、
日本代表は日本時間9/29(金)午前4時からおこなわれたサモア戦に勝利し、
決勝トーナメント進出へ一歩前進しました。
そしてその翌日、ラグビーワールドカップ史上初の南米同士の対決となった
日本と同じプールDのアルゼンチン対チリの一戦でアルゼンチンが59-5で圧勝、
ボーナスポイントも獲得し勝ち点を9としました。
これで、アルゼンチンと日本が勝ち点では並ぶものの、
得失点差で日本を上回っているアルゼンチンが2位に浮上、日本は3位となりました。
各プールでの勝ち点上位2チームが決勝トーナメントに進出しますが、
勝ち点が同じ場合は予選全試合の総得失点差で上回っているチームがその権利を得ます。
プールDは、得失点差こそあれ同じ勝ち点の日本とアルゼンチンが次の試合で対戦しますので、
どちらかその試合に勝ったほうが決勝に進出するということになります。
(厳密に言えば、引き分けでどちらかのチームのみが4トライ以上を獲得しボーナスポイント=勝ち点1を得るという事態になれば、そのチームが勝ち点で1点上回り決勝進出となります)
その観点で言えば、もし先週のサモア戦で日本がボーナスポイントを獲得できていれば、
次の試合でアルゼンチンと引き分けても決勝に進むことが出来たのに・・・という声もあります。
でも、日本代表の誰一人として引き分けでもいいなんて思ってはいないでしょうし、
そんな感情で試合に臨めばきっとやられてしまうと思います。
日本代表がきっちり勝って、前回大会に続く決勝トーナメント進出を決めてくれることを信じています。
でも実は、アルゼンチンってフランスの地では強いという実績もあったりもして。
2007年その時もフランスで開催された第6回大会、「ロス・プーマス」の愛称で知られるアルゼンチンは
開幕戦で開催国フランスを破ると、アイルランド、ジョージア(当時の呼称はグルジア)、
ナミビアも下し全勝で決勝トーナメントに進出。
準決勝で南アフリカに敗れるものの、3位決定戦で雪辱を期すフランスを再度破って
3位に輝くというアルゼンチン旋風を巻き起こしたのでした。
そんなアルゼンチンに日本はどういうプランで立ち向かうのか?
ポイントを絞るとすれば3つ挙げられます。
ひとつは、まずスクラム。
サモア戦でもフィジカルの強い相手にスクラムで負けなかったこと、
押し勝ったことは試合を優位に進める要因のひとつとなりました。
では、スクラムが強いとなぜ有利なのか?
スクラムというのは、試合中ゲームを再開する際の起点のひとつですが(バスケットボールでのジャンプボールみたいなものです)、
味方ボールの際にスクラムで相手より勝っていれば安定した状況で味方にボールを供給できるので、
よりスムーズに意図した攻撃が可能になります。
そしてスクラムを押し込むことができれば、押された側は次に防御で前に出るための出足が遅れるので、
相手の防御網を乱すという意味でも効果があるのです。
もちろん、これは零コンマ何秒という世界の話ですが、
でもその差が生む数十センチ、数センチの防御の遅れが攻撃側の突破を可能にするスペースを生み出すことにつながります。
相手ボールのスクラムだとすれば、逆にスクラムを押し込むことで相手の攻撃を乱れさせるきっかけにもなり得ます。
大雑把にぶつかり合っているように見えるラグビーですが、
トップレベルの試合では、様々な局面でその零コンマ何秒の時間、数センチの空間をも奪い合っているのです。
だから、スクラムが大きな要素となるわけです。
アルゼンチンも伝統的にスクラムに強みを持つ国ではありますが、今の日本代表が8人全員で組むスクラムは本当に強い!
まずはスクラムで相手を圧倒して主導権を握りたいところです。
ふたつ目は、運動量。
個々の選手のフィジカル・スピードにはやはり目を見張るものがあるアルゼンチン。
それに対して、日本は組織的なプレーで対処したいところです。
一人では倒せない相手もダブルタックルと呼ばれる二人がかりのタックルで止める。
でも、そのプレーで相手が一人、こちらが二人倒れたとすると、
その状態のままでは次の局面で日本代表のほうが一人少ないということになります。
ラグビーにおいて、防御の人数が少なくなるということはその分マークする人間が足らなくなり、
そこにスペースが生まれ攻撃側が優位に立ちます。
密集戦でも押し込む人間が多い方が当然有利なわけです。
だから、タックルをして倒れてもすぐに起き上がって次に備える。
相手が一人倒れている間に、こちらの一人が先に立ち上がれば、その分人数で勝ることができます。
「リロード」と呼ばれるこの行為を80分間続けることは体力的に相当キツい。
でも、日本代表はそれを成し得るためにハードなトレーニングを続けてきましたし、
それこそが上位国に勝つための生命線になると思います。
単純にグラウンドを走り回るという運動量だけでなく、ぶつかって。倒れて。起き上がって。走って。。。
を繰り返すラグビーに必要な運動量。これが鍵になります。
ぜひ試合をご覧になる際は、インプレー中(ゲームが続いてる時間)に立っている日本代表の選手がどれぐらい多くいるかに注目してください。
その人数が多ければ多いほど、勝利に近づくことが出来ます。
最後に、どれだけ規律を保ち続けることができるか。
つまり、ペナルティーを犯さずにいられるか。です。
相手にペナルティーを与えるということは、
(その時のエリアにもよりますが)相手にゴールキックの機会を与えるということです。そして、例えゴールキックにはつながらなくとも、
ペナルティーで相手にボールを与えるということはこちらの攻撃の機会を失うことであり、相手に勢いを与える要因にもなります。
サモア戦、日本は規律を保った素晴らしいディフェンスで相手の攻撃を止め、
それがどんどん相手の苛立ちを誘うことにもつながりました。
アルゼンチンは、これまでの傾向として比較的ムラのあるチームで、むしろペナルティーも多い。
乗らせると強いが、逆に歯車が狂うと一転して弱みをみせることがあります。
そこにつけこむことが出来れば、日本に勝機が生まれると思います。
初戦のイングランド戦でも、開始早々相手のレッドカードによりほとんどの試合時間を一人多い状態で戦いながら、
ぺナルティーゴールで着実に加点されノートライのイングランドに敗れました。
そういう意味では、ゴールキックの正確性も勝負の命運を分ける大きな要素になるでしょう。
2大会連続となる決勝進出にむけて、
ぜひリスナーの皆さんからも大きな声援を日本代表にお送りください。GO!!JAPAN!!!
アルゼンチン戦は、日本時間の8日夜8時から!!
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