CIAO 765
映画化は希望しません! #まちゃお765[4.25 mon]

Buongiorno a tutti! (ブオンジョルノ・ア・トゥッティ)
おはようございます。
どうも、僕です。野村雅夫です。
明日は番組の映画短評CIAO CINEMAでフィンランド製ホラーの『ハッチング 孵化』を扱いますが、怖いの苦手なくせに、小説でもわりと進んで手にしてしまうのが、ミステリーやスリラーなんです。自分でも自分の心理がわかりません。
最近読み終えたのが、イタリアの『血の郷愁』。ある日、北イタリアの村で女性の変死体が発見されるんですが、ここで描写するのは控えたいっていう惨殺っぷり。事件を追い始めたのは、定年間近、窓際族の新聞記者マルコ。インターンの女性イラリアから、聞き捨てならない話を耳にします。これは、19世紀にイタリアで起きた連続殺人事件と手口が似ている… なんてタイミングで、現代でもまた別の被害者が…
年の離れた男女デコボコ・バディーものであると同時に、社会や歴史に埋もれた闇や新聞社の裏側、そして犯罪者がしだいにその殺意を育んでいく様子を暴くスリルたるや、すごいものがありまして、ゾクゾクし通しでした。
さらには、マルコとイラリアそれぞれの恋愛事情や過去もあり、イタリアらしく食事のシーンもしっかりおいしそうに描写されるし、そこかしこにユーモアも織り込まれているしで、エンターテイメント小説として総合的にとてもよくできていました。
ちなみに、作者のダリオ・コッレンティさん。これが長編デビュー作と知って、僕はびっくり。どんな才能やねんなと思いましたが、どうやらこれはペンネームで、作者はふたりいるようです。なんて知ったら、それこそマルコとイラリアみたいなふたりが書いてるんじゃないかと想像を膨らませるのも楽しいあたり。
とても映像の浮かびやすい文体で、映画化にも格好の題材ではありますが、映画にされると僕はたぶん直視できないので、僕は映画化は希望していません。
今週も、聴ける範囲でのおつきあい、まずは今朝11時まで、よろしくです。