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CIAO 765

人生を変える映画体験はある #まちゃお765[3.21 mon]

Buongiorno a tutti! (ブオンジョルノ・ア・トゥッティ)
おはようございます。
どうも、僕です。野村雅夫です。

観たら最後、その後の人生を左右する映画体験というのは、確実にあります。僕にとってはパゾリーニ作品がそうでした。彼が75年に亡くなってから25周年にあたる2000年にテアトル梅田で長編全作品のリバイバル上映があって、当時既にイタリア映画で卒論を書くと決めていた僕は、足繁く通ったんです。

ぶったまげました。どれを観ても、はっきり言って、青二才だった僕にはなんだかよくわからないものが多い。それまで観てきたどの映画とも違う。そして、よくわからんが、暗闇で目を凝らしたその体験は強烈で、忘れられない。イメージが脳裏にこびりついて離れない。

僕は思うんですけど、この「わからないけれど、気になってしょうがない」という心持ちは、人を成長させるのではないかと。一度観て、スッとわかってしまうもの、あるいはわかったつもりになってしまうものというのは、たとえその時に涙を流すようなことがあったとしても、その涙は案外あっさり乾いて跡も残らないもんです。昨今、ファスト映画みたいな短絡的な鑑賞方法が、権利の観点からも問題となりましたが、そういうコンビニエントに物語だけ追いかければ済むような行為とは相容れないアートが世の中にはたくさんあって、そういうものに接することが人生を豊かにするのだと信じています。

簡単には言葉にできないけれど、もっとわかりたいし、言葉にもしていきたいと思えるような作品に出会った。それが僕にとっての2000年でした。パゾリーニは、今年で生誕100年。もうすぐ、マリア・カラス主演の『王女メディア』とテレンス・スタンプ主演の『テオレマ』というすごい2作が関西でもリバイバル上映されます。今日はチケットプレゼントしますよ。「なんじゃこりゃ~」な体験を、あなたも!

今週も、聴ける範囲でのおつきあい、まずは今朝11時まで、よろしくです。