CIAO 765
でかした!! #まちゃお765[2.14 mon]

Buongiorno a tutti! (ブオンジョルノ・ア・トゥッティ)
おはようございます。
どうも、僕です。野村雅夫です。
映画論を専攻する万年学生だった20代後半。モラトリアム街道をひた走り、すべての道はローマに通ずとばかりに、僕はローマで留学生活を送っていました。ある日、友人とのささやかなフェスタを開こうと僕の屋根裏部屋の下宿に何人か招いたところ、友だちの友だちなるひとりの日本人の若い男が紛れ込んだんです。
留学生なんだろうな。どこで何を学んでいるのだろうかと、とりあえず聞いてみようと思ったところへ先手を打たれました。
「はじめまして。二宮大輔といいます。雅夫さんのお噂はかねがね。ところで、翻訳家になりたいんですが、どうすればいいでしょうか?」
なんなんだ、この単刀直入っぷりは。すごい切り込み方だ。
「え? 僕も翻訳は好きでしているけれど、まだ翻訳家と名乗るほどの仕事をものにしているわけではないから、こっちが教えてほしいくらいだよ。ともにがんばろうじゃないか。勉強会でもするか」と返すのが関の山でした。
あれからうん十年。彼はほどなく僕の主宰するイタリア文化紹介のグループで、今はめでたく株式会社化している京都ドーナッツクラブに加入し、なんとなんと、このほど、あっぱれな翻訳をものにしました。
イタリアの直木賞にあたるストレーガ賞や、ノーベル賞の行方にも影響を与えるカフカ賞など、世界の文学賞をとりまくっているクラウディオ・マグリスの代表作『ミクロコスミ』を見事出版したんです。これまでも何冊かマグリスの邦訳は出ていましたが、いずれもドイツ語経由の重訳で、イタリア語からの翻訳はこれが初。
はっきり言って、頭が下がります。どれほどの努力を重ねてきたことだろうか。著者とコミュニケーションを取り、難解な原文にひとつひとつ向き合い、出版社とも話し合いをし… 訳したいと思い立ってから幾星霜…
すごいぞ、大輔! もっとやれ! 僕はもっと読め! まだ50ページほどしか読んでいない、先輩のこの体たらく。とにかく、めでたいお知らせでした。
今週も、聴ける範囲でのおつきあい、まずは今朝11時まで、よろしくです。