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CIAO 765

本は表紙でジャッジするべからず? #まちゃお765[6.28 mon]

Buongiorno a tutti! (ブオンジョルノ・ア・トゥッティ)
おはようございます。
どうも、僕です。野村雅夫です。

ジャケ買いというのは、書籍でもあることですよね。「本を表紙でジャッジしてはいけない」といった言葉もありますが、やはり見かけも大事ですよ。どうすれば本の内容がうまく読者に伝わるか。読者の興味を喚起できるか。出版社はその装丁に気を配るものです。

画像の右側は、僕が先週木曜日に「読み終えたよ」と紹介したイタリアの小説『戻ってきた娘』の日本語版の表紙。そして、左は原書です。ずいぶん、印象が違いますね。

地方都市の比較的裕福な家庭で、何不自由なく育てられた思春期の女の子が主人公。なんですが、ある日突然、実の両親とその子どもたちが暮らす田舎の家にひとり引っ越すことに。なぜ? そして私の出自は?

彼女は一変した生活環境によるカルチャーショックを受けます。一人娘として育てられていたのに、いきなりの子だくさん。さらには、食うや食わずの貧困。性にぼんやり目覚めたり、それでも勉学に励んだり、反抗を試みたり、粗野な妹との絆が育まれたり…

興味深いことに、主人公の名前は小説の中で明かされません。ただただ、「戻ってきた娘」なんです。そんな彼女の語りの中で、ちょいちょい垣間見えるのが、大人になった今の私。彼女がどうサバイブして、どんな大人になったのか、実は最後までわかりません。でも、この書ききらない余白がいいんですね。続編もあるようで、イタリアでは映画化も進んでいます。ますます楽しみ。

さて、あなたは、どちらの表紙がお好み?

今週も、聴ける範囲でのおつきあい、まずは今朝11時まで、よろしくです。