物見遊山
門上西林 物見遊山 【#135/2019.5.04】[5.4 sat]
毎月最初の土曜日のトークテーマは『映画』
今回は萩原健一さんにスポットをあてました。
●今夜の選曲●
M① あゝお前 / 萩原健一 ....... (西林選曲)
M② Pink Soup / ウォッカ コリンズ ....… (門上選曲)
M③ ラグーン・ホテル / 大空はるみ
(エンディング・ソング) ...… (門上選曲)
※今月のエンディング・ソングの選曲テーマは『空』
門上武司・西林初秋が週替わりで担当する『放送後記』
今週の担当は西林さんです。
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どこまでが芝居なのか?その歌は歌唱なのか、演技なのか?若き日のショーケンは、ボーダーなんて軽やかに行き来するあやうさが魅力でした。自著「ショーケン」では、「チンピラがチンピラを演じているんだから本物だと思う」といっています。
さて、その「ショーケン」という本。自伝的書籍という点では「俺の人生どっかおかしい」についで2冊目で、前作よりさらに赤裸々に語っている点が特徴です。やはりここでもどこまでが本当で、どこからが誇張なのか、眉にツバを塗りたくなる記述もあります。それを差し引いても魅力的だったのは「ブラックレイン」についてのくだり。当初はショーケンの出演で話は進んでいたと書かれています。しかも高倉健が演じた刑事役には勝新太郎、若山富三郎のやくざの親分には藤山寛美!(ちなみにアンディ−・ガルシアの役はトム・クルーズ、NY市長か市警の上司役にジーン・ハックマン!)勝新はアル中で、クビ寸前の酔いどれ刑事という設定。しかし勝新は影武者の後遺症もあって大作に乗り気ではなく、寛美さんは大喜びでしたが「ギャラで借金を払ってくれはるんやろ」という条件を提示。その額35億円だったそうです。結局、話は流れて、高倉健に主演が決定。キャラクターの設定もストーリーも健さんにあわせて大幅に変更されることになりました。
過去の出来事に「たられば」を持ち出してもしかたがないことはわかりつつ、ときにバーの片隅で、ショーケン、勝新、寛美さんの「ブラックレイン」はどのようなものだったのかと想像すると、その日の酒は感傷というビターがきいて、だんだんおいしくなっていくのです
<西林初秋>