CIAO 765
正体謎の有名人 #まちゃお765[5.3 mon]
Buongiorno a tutti! (ブオンジョルノ・ア・トゥッティ)
おはようございます。
どうも、僕です。野村雅夫です。
ここんとこ怒涛の日々を過ごしているので、またまた読書に割ける時間が少なくなっているのが悩みなのですが、それでも僕なりにかなりのスピードでページを繰っているのが、僕も親交のある作家、増山実さんの新刊『ジュリーの世界』。
1980年前後。京都の中心部、交番に勤務する新米おまわりさんを主人公に、街を徘徊する謎の人物「河原町のジュリー」の謎を追いながら、たくさんの人物と交流していく物語です。
少なくとも今僕が読んでいるパートまでは、舞台となるエリアは非常に狭いです。東西は河原町から寺町、南北は四条から三条、それぞれの通りで区切られた、徒歩で数十分もあれば歩き回れる繁華街ですが、そこには実に豊かな歴史と町衆の営みがあるんですね。
そこでちょっとした有名人なのが、街の奇人である「河原町のジュリー」です。みんな知っているけれど、誰も正体は知らない。どこから来たのか、なぜここにいるのか。先が気になってしょうがないですよ。
増山さんはいつも丹念に取材をされる方。京都で学生時代を過ごされているので、ご自身の記憶を手繰りながらも、たくさんの資料にあたって裏を取りながら、当時の街の様子を小説の中に蘇らせています。日頃から、まさにこのあたりをウロウロしている僕にとっては、今の京都と当時の京都を頭の中で重ね合わせることになりました。京都にお住まいでない方も、気軽に「聖地巡礼」できること請け合い。
そして、河原町のジュリーは実在した人物です。僕は、哲学者鷲田清一のエッセイ『京都の平熱』の中でその存在を知りました。今度は小説で再会できるなんて。ぜひあなたも手に取ってみてください。
今週も、聴ける範囲でのおつきあい、まずは今朝11時まで、よろしくです。